千葉大学やNHK放送技術研究所、京都大学らの共同研究チームは、1つの素子で「太陽光発電」と「発光」という2つの機能を備えた「発電できる有機EL素子」を開発した。
千葉大学先進科学センターの深川弘彦特任教授とNHK放送技術研究所、京都大学大学院理学研究科の畠山琢次教授らによる共同研究チームは2026年1月、1つの素子で「太陽光発電」と「発光」という2つの機能を備えた「発電できる有機EL素子」を開発したと発表した。
有機半導体は、「有機EL(OLED)素子」としてスマートフォンなどに搭載されている。また、「有機薄膜太陽電池(OPV)」などの開発も進む。これら2つの機能を1つの素子に統合すれば、新たな用途の拡大につながるものの、現行技術では効率が低下するなど課題もあった。
研究チームは今回、高い発光効率と強い光吸収特性を兼ね備えた「MR-TADF材料」を用いて、新たな多機能素子の開発に取り組んだ。実験では、MR-TADF材料と電子受容材料(アクセプター)の界面における電荷や励起子の挙動を精密に制御した。これによって、EL発光の外部量子効率(EQEEL)と電力変換効率(PCEPV)のトレードオフを解決した。
具体的には、MR-TADF材料を用いることで、電荷移動(CT)励起子の励起子束縛エネルギー(Eb)が0.01〜0.4eVとなった。この値は従来の有機材料系に比べて小さい。Ebが小さい素子は発電時の電圧損失を極小化できるという。
Ebの大きさは、発光色にも関連している。例えば、Ebが大きい分子を組み合わせると長波長発光(黄色)が得られる。Ebが小さい分子を組み合わせると、短波長発光(青色)が得られる。こうした特性を利用してEbを精密に制御すれば、全可視光領域で発光しフルカラー動作が可能となる。
試作した素子を評価したところ、緑色と橙色の発光発電素子では8.5%超のEQEELと、約0.5%のPCEPVを同時に達成した。青色発光素子でも、約2%のEQEELと、1%超のPCEPVを実現した。
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