半導体の安全性と信頼性に大きく関わる半導体。そのトレーサビリティは、半導体の性能の進化に応じて、実情に見合う内容にアップデートされるべきものだ。今回は、半導体トレーサビリティの現状と課題、そして、半導体トレーサビリティがサプライチェーンのレジリエンス向上にどう影響するのかを3回にわたって解説する。
前回の「長期保管した半導体や、古いデートコード品は使えるのか?」では、最大17年間保管されたコンポーネントのはんだ付け性、機械的信頼性および、電気性能について分析を実施し、適切に保管された半導体製品において、問題や障害は検出されなかったことの実証結果をまとめた。今回は、進化を続ける半導体トレーサビリティの状況を検証し、サプライチェーンのレジリエンス向上を実現する新たな基準と実践について3回にわたり分析する。
本題に入る前に、「そもそもデートコードとはなにか?」をもう一度確認をしよう。
デートコードは、1960年代に半導体製品に導入された。目的は、製造日や工程、部品表に基づいた製品履歴と、2〜3年の“販売期限”を維持するためだといわれている。そのため、現在に至るまで記載されたデートコードから2〜3年以上過ぎた半導体製品は使用できなくなると考えられている。また、半導体製品を発注する際に、デートコードが1年以内の製品に限られていることも多く、より新しい製品を使うための判断材料として使われることが多い。
半導体業界が長年、世界最大の技術革新の最前線に立ってきたことは、皆さんもご存じだろう。航空宇宙、医療機器、オートモーティブ、産業用オートメーションなどさまざまな分野は、半導体技術の進歩によって大きな影響を受けている。しかし、半導体自体は大きな影響を与えてきた一方で、業界の物流は顕著な課題となっている。
これらの分野は多くの場合、25年以上にわたる半導体製品のライフサイクルを必要とし、サプライチェーンの継続性と信頼性に大きく依存してきた。最も重要な点は、半導体製品の供給元を追跡し、ライフサイクル全体を通じて品質や状態が保たれていることを保証できる信頼性があるか、ということだ。
しかし、冒頭で記載したように「2年間のデートコード」などの従来の指標に依存することは、現在のサプライチェーンのトレーサビリティや品質要求に対応するには不十分であることが証明されてきた。今日、グローバル化したサプライチェーンと「ジャストインタイム」製造のプレッシャーが、デートコードに関連する課題を悪化させている。2年間というデートコードの制限は、厳格に適用すると、半導体製品の不要な製造中止を招き、製品在庫の柔軟性を低下させ、販売代理店やエンドユーザーにとってコストの増加を引き起こす可能性がある。
半導体業界の複雑化とグローバル化に伴い、品質保証や偽造防止、サプライチェーンの透明性を確保するため、厳格なトレーサビリティ標準が策定された。その代表的な規格がJEDEC JEP160とSAE AS6496だ。
今日、これらのフレームワークに支えられた堅牢なトレーサビリティシステムが、製品の信頼性を確保するためのより効果的なアプローチを提供している。では、現代のトレーサビリティにおけるデートコードとは何を意味するのか。
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