早稲田大学理工学術院の北智洋教授らは、シリコンフォトニクス光集積回路向けの「超小型光回路モニター」を開発した。マルチモード干渉を利用する独自の構造を採用したことで、低損失動作と高感度化を両立させた。
早稲田大学理工学術院の北智洋教授らは2026年3月、シリコンフォトニクス光集積回路向けの「超小型光回路モニター」を開発したと発表した。マルチモード干渉を利用する独自の構造を採用したことで、低損失動作と高感度化を両立させた。
AIデータセンターでは、膨大なデータ処理を行う。このため、大量の情報を高速かつ低電力で伝送するには、従来の電気配線ではなく光通信が導入されている。センシングの分野でも小型で高精度の光制御技術が求められているという。これらの要求に対応するための基盤技術が、シリコンフォトニクスによる光集積回路だ。
研究グループは今回、シリコンフォトニクス光集積回路の内部に直接組み込むことができる、新たなインライン光モニターを実現した。ここで注目したのがマルチモード干渉だ。
具体的には、干渉によって導波路中央に光電場が集中する場所に電極を配置した。この結果、光の伝搬をほとんど乱さずの電極間の距離を縮めることができた。電極間の距離が短いほどフォトコンダクティブゲインが増加するからだ。この原理を活用し、低損失性を維持しながら、光電流を大幅に増やすことに成功した。
試作したインライン光モニターは、長さが4.7μm。挿入損失は約0.03dBである。シリコン導波路に電極を設けた通常の構造に比べ75分の1という低損失を実現した。同時に、フォトコンダクティブゲインにより光電流を増幅、シリコン-PIN型検出器に比べ、検出感度は最大約340倍となった。
開発したインライン光モニターをリング共振器に組み込んで、光電流スペクトルを測定した。これにより、共振ピークに対応して変化する光電流を観測、回路内部の光強度や共振状態を高い精度で把握できることを証明した。多数配置しても回路性能への影響は極めて小さいことも分かった。
開発した成果は、LiDAR用集積回路にも応用できるという。リング共振器や光フェーズドアレイと組み合わせれば、より高精度で安定した光ビーム制御が可能となる。
研究グループは今後、データセンター間光通信(DCI)向けの多波長光トランシーバーや、LiDAR用光集積回路、テラヘルツ波コヒーレント通信に用いる光変調器などへの応用に取り組む計画だ。
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