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「車載SoCにTCAM」は標準となるか ルネサスの新技術詳細を聞く高密度/低消費電力/車載対応を実現(1/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは、2026年2月に米国カリフォルニア州で開催された「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC) 2026」にて、車載SoCに適用可能な高メモリ密度かつ低消費電力のTCAM(Ternary Content Addressable Memory)を発表した。同技術の詳細を開発担当者に聞いた。

» 2026年03月26日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、2026年2月に米国カリフォルニア州で開催された「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC) 2026」にて、車載SoCに適用可能な高メモリ密度かつ低消費電力のTCAM(Ternary Content Addressable Memory)を発表した。同技術の詳細を開発担当者に聞いた。

車載用途への期待高まる「検索特化メモリ」

 TCAMは、メモリ内部に蓄えた全情報から入力値に合致するデータを1サイクルで探し出したり、合致するデータが複数ある場合は全てを探し出したりと、検索に特化したメモリだ。部分一致も抽出できる。RAMではアドレスを指定してデータを出力するのに対し、CAMではデータを入力してアドレスを出力する。

TCAMの特徴 TCAMの特徴[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 TCAMは従来、ネットワーク機器においてIPアドレスを高速で検索する用途で採用されてきた。しかし現在、検索に特化したメモリであるTCAMが自動車においても「どのセンサーの情報をどこに届けるか」を調べるために有効だという見方が出てきている。自動運転技術の進展やソフトウェア定義型自動車(SDV)のトレンド加速によって、自動車にも高速/大容量の通信が求められているからだ。

 ルネサスはTCAM IP(Intellectual Property)を提供している。ルネサスでIP事業を担当する永縄昌樹氏は「2024年ごろから、TCAMに関して車載用途を想定していると思われる問い合わせが増加してきた」と振り返る。

 こうした潮流を踏まえ、ルネサスはISSCC 2026で、車載SoCに適用可能な新しいTCAM技術を発表した。同技術には3nm FinFETプロセスを用いている。

小粒のハードマクロとソフトマクロで「業界最高レベル」の高密度化

 従来のTCAMの課題となっていたのはまず大容量化だ。5Gの普及やクラウド/エッジコンピューティングの拡大に伴ってネットワークトラフィックが急増する中で、TCAMには256ビット×4096エントリ級の大規模で多様な構成が求められるようになっている。

 これまでTCAMの大容量化はハードマクロを大きくするという方法で進んできたが、バンクやリピーターの増加による周辺回路面積が増大し、タイミング収束も難しくなるという課題があった。

 これに対してルネサスは、小粒のハードマクロとソフトマクロの自動生成技術を組み合わせることで、ハードマクロを大きくせずに大規模なTCAMとして動作させられる構成を開発した。ハードマクロは検索キー幅8〜64ビット、エントリ深さ32〜128だ。これによって高密度化を実現していて、メモリ密度は5.27Mビット/mm2と「業界最高レベル」(ルネサス)になった。

ハードマクロとソフトマクロの統合技術 ハードマクロとソフトマクロの統合技術[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 ソフトマクロの自動生成技術によって、柔軟な構成変更も可能だ。ルネサスで同技術の開発を担当した長田俊哉氏は「顧客によっては、さまざまな規模のTCAMを同時に利用することがある。この技術では大規模なものもそうでないものも柔軟に提供できる」と説明する。

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