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ARMが新プロセッサコアの概要を発表、「Cortex-A15」との協調運用で消費電力を低減プロセッサ/マイコン

ARMが開発中のプロセッサコア製品「Kingfisher(開発コード)」は、「Cortex-A15」の課題となっている消費電力を大幅に低減することが可能だ。

» 2011年09月08日 08時00分 公開
[朴尚洙,EE Times Japan]

 アームは2011年9月7日、愛知県名古屋市内で「ARMソリューションセミナー 2011 in 名古屋」を開催し、2011年内の発表を予定しているアームのプロセッサコア製品「Kingfisher(開発コード)」の概要を明らかにした。

 Kingfisherは、アプリケーションプロセッサ向けの「Cortex-Aシリーズ」に属する製品で、コア数は1〜4個まで選択できる。その特徴は大きく分けて2つある。1つは、アームが2010年9月に発表したCortex-Aシリーズで最高の処理能力を持つ「Cortex-A15」と、バイナリレベルで互換性を備えることだ。このため、Cortex-A15向けに開発したソフトウエアは、何も変更を加えることなくそのままKingfisher上でも動作させることができる。もう1つは、Cortex-A15や2007年10月に発表した「Cortex-A9」と比べて、消費電力が小さいことである。消費電力の低減と併せて回路面積も大幅に低減されている。なお、Kingfisherの処理能力は、リアルタイム制御用途向けの「Cortex-R7」とほぼ同等になると見られる(図1)。

図1 図1 アームのプロセッサコアのロードマップ 赤色の線で囲んだ部分が「Kingfisher」である。

 アームは、Kingfisherの用途として、Cortex-A15のサブプロセッサとして利用することを想定している。アームによると、「Cortex-A15は、処理能力がCortex-A9の2倍以上を達成しているものの、消費電力はCortex-A9よりも大きくなってしまうことが課題だった。そこで、当社が提案するのが、メインプロセッサとしてCortex-A15を、サブプロセッサとしてKingfisherを用いる『Big&Little』という構成である。例えば、一般的な処理についてはKingfisherを利用しておき、HD(高品位)映像など高い処理能力が要求される場合だけCortex-A15に切り替えるのだ。そうすることで、大幅な消費電力の低減が可能になる。実際に、当社が行ったベンチマークでは、Big&Little構成はCortex-A9よりも消費電力が小さかった」という。

 なお、Kingfisherは、単独のプロセッサコアとして利用することも可能である。

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