LED関連のICの開発を手掛けるIkon Semiconductorが、アイルランド銀行などから約110万米ドル相当の資金を調達した。アイルランド銀行は、「成長が期待されるLED分野に注力する同社を支援することは、アイルランドの景気回復を図る上でも重要だ」との見解を示している。
LED照明分野においてビジネスチャンスの獲得を目指してきたアイルランドの半導体ファブレス企業Ikon Semiconductorは2011年9月、アイルランド銀行の投資部門であるSeed and Early Stage Equity Fund(SESEF)などから総額80万ユーロ(約110万米ドルに相当)に及ぶ資金を調達した。80万ユーロのうち半分の40万ユーロをSESEFが、残りをSimple.ie Green BES Fund、Enterprise Irelandおよび個人投資家が投資している。
Ikonは、半導体業界で豊富な経験と実績を持つConor McAuliffe氏により、2009年に設立された。同氏は現在、IkonのCEO(最高経営責任者)を務めている。
一般住宅や商業ビルの照明をLED電球に置き換える動きは、今後さらに活発化するとみられている。2011年に8000万個だったLED電球の出荷数は、2013年には4億3000万個まで飛躍的に伸びるという予測もある。LED照明関連の新興企業であるIkonは、このように需要が高まっている一般住宅/商業ビル向けのLEDに注力しており、今回調達した資金を、LED電球向けのパワーコンバータICの開発に投じる予定だとしている。
アイルランド銀行のEnterprise Ireland Relations部門を率いるDonal Duffy氏は、報道発表資料の中で、「Ikonへの共同投資は、LED照明市場で成長を目指す自国(アイルランド)企業に対する支援の好例といえる。同市場は世界的にも堅調な成長が期待される分野のため、こうした投資は、Ikonはもちろん、景気回復を図るアイルランドにとっても非常に有益である」と述べている。
また、IkonのMcAuliffe氏は、「LED照明は高い成長が見込める分野だ。今回の資金調達により、当社は今後12カ月間で大きく発展し、十分な利益を得ることができるだろう」と語った。Ikonは2012年に、住宅/商業ビル用のLED電球向けに、同社初の製品を発表する予定だとしている。
国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)によると、白熱電球の出荷数は年間120億個以上に及ぶ。また、地球全体のエネルギー消費のうち、約19%が照明を占めており、これは、大規模な発電所1000基分の発電量に相当するという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.