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「低炭素経済の構築に貢献」、Intelがアイルランドに研究施設を設立ビジネスニュース 企業動向

Intelが新たに創設した研究開発施設は、欧州における持続可能な社会の実現に大いに貢献すると期待される。

» 2011年10月19日 11時42分 公開
[Peter Clarke,EE Times Japan]

 Intelは、アイルランドのLeixlip(リークスリップ)にある同社のサイト内に、エネルギー利用と持続可能性(sustainability)について共同研究を行うための施設「Energy & Sustainability Lab(ESL)」を開設したと発表した。

 同研究所の開設は、IntelのCTO(最高技術責任者)を務めるJustin Rattner氏、アイルランドの首相であるEnda Kenny氏、欧州連合(EU)のコミッショナを務めるMaire Geoghegan Quinn氏によって発表された。低炭素経済の実現に向けた情報技術の研究を進める拠点になるとしている。EUが設定した、2020年までの持続可能性に関する目標の達成にも大きく貢献すると期待される。

 ESLは、「Intel Labs Europe(ILE)」の支援を受けて開設された。ILEは、Intelが欧州での研究開発を促進するために、2009年に設立された組織である。二十数カ所の研究開発施設と1500人以上の研究者で構成されていたが、IntelがInfineonの無線チップ事業を買収したことで、さらに9カ所の研究所と2000人の研究開発者が加わった。Intelは、ESLの創設にかかった費用や、雇用する研究者の人数などについては、明らかにしていない。

 EUのコミッショナを務めるGeoghegan Quinn氏は、Intelの発表資料の中で「欧州の未来は、成長力があり雇用の創出を実現する、競争力のある産業にかかっている。これはつまり、研究開発や新しい技術、イノベーションを後押しする環境の醸成に対して投資することを意味している。欧州は今、より多くの革新的な技術を、より速く開発する必要に迫られている」と語っている。

 Intelは、数多くの研究プロジェクトについても発表した。具体的には、アイルランドのスマートグリッドに電気自動車を統合するための共同研究や、エネルギーの使用量を監視し、そのデータをホームエネルギー管理システムに無線で送信するプラグインデバイス、オフィスビルなどでエネルギー消費の効率を向上させるためのツール「POEM(Personal Office Energy Manager)」などに関するプロジェクトを紹介した。なお、POEMは、2011年11月にフランスの電力事業者が試験的に使用することが決まっている。

 また、Intelは、欧州の送電網の実現を目指す業界団体である「Friends of Supergrid(FOSG)」への加盟についても発表した。スーパーグリッドは、遠隔地で生成された電力を、消費地まで主に直流で容易に送電できるように設計された送電網である。

 ESLは、空冷技術やその他の省エネ技術をよりうまく活用できるよう、リークスリップの敷地内にある既存サーバーファームを再設計し、20%以上のエネルギー削減を目指すとしている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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