この他、電力線を使った通信に特化したPLC用チップの展示も幾つかあった。パナソニックは、450MHz帯を使う低速PLC用LSI「MN101EF69D」を展示した。BPSK変調を採用しており、データ伝送速度は最大500kビット/秒、実効速度は300kビット/秒程度である。
同社は、日本国内で高速PLCが解禁された2006年から、2〜30MHz帯を使い、最大210Mビット/秒のデータ伝送速度を実現した高速PLC用モジュールを製品化してきた。2007年7月には、独自の高速PLC技術の普及を目的にした業界団体であるHD-PLC Allianceを設立し、活動を主導してきた。ただ、最近注目が集まる宅内エネルギー管理システム(HEMS)やスマートメーターの用途では、高速PLC用チップはオーバースペックであるため、これらの用途に仕様を合わせた品種を用意した。現在開発中で、2012年春にサンプル出荷を始める予定である。
ルネサス エレクトロニクスは、「G3-PLC」や「PRIME」といった複数の規格に対応可能なPLC通信用モジュールを出品した。G3-PLCは、フランスの電力会社EDF(Electricitede France)の子会社であるERDF(ElectriciteReseau Distribution France)とMaxim Integrated Productsが共同で開発した規格。PRIMEは、スペインの電力会社IBERDROLAとスペインの半導体ベンダーであるADD Semiconductorが開発した規格である。
従来、異なる規格に対応するのには、それぞれに合わせた通信チップが必要だった。これに対して、ルネサス エレクトロニクのPLCモジュールを使えば、1つの通信チップで、異なる規格に対応できる。具体的には、物理層処理を担当するDSPと、MAC層処理を担当するMCUを1チップ化したLSIを搭載しており、これに実装するファームウェアを変えることで実現する(関連記事)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.