「Kindle Fire」の好調な売れ行きからも分かるように、消費者の関心が低価格のタブレット端末に向いている。そのような中、ついに100米ドルを切る製品が販売される。
中国のAinol Electronicsは、Android 4.0(コードネーム「Ice Cream Sandwich」)を搭載したタブレット端末「NOVO7」を発表した。Android 4.0を搭載した初のタブレット端末で、99米ドルという低価格を実現している。まずは中国国内で販売される。米国やその他の地域でも、今後数カ月以内に、Leader InternationalやOMG Electronicsなどのメーカーがそれぞれのブランドで販売を始める予定だという。
低価格の他にもう1つ特徴的なのが、MIPS Technologiesのプロセッサコアをベースにした中国Ingenic Semiconductor製SoC(System on Chip)「JZ4770」を搭載している点だ。JZ4770はモバイル機器向けのSoCで、MIPSのCPUコア「XBurst」、1080pの動画や3D表示に対応するGPU(Graphics Processing Unit)コア「Vivante GC860」を搭載する。動作周波数は1GHzである。XBurstの優れた電力効率により、電池寿命を延ばすことができた他、Webサイトを閲覧しているときの消費電流を400mA以下に抑えられたとしている。
また、NOVO7は、7インチの静電容量方式のマルチタッチスクリーンを備えており、Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)、USB 2.0、HDMI 1.3、microSDの各規格に対応する。前面と背面にはカメラを1基ずつ備えている。MIPSによると、8インチおよび9インチのマルチタッチスクリーンを備えた製品も販売される予定だという。
MIPSの事業開発部門でバイス・プレジデントを務めるRobert Bismuth氏は、「NOVO7は、Amazonの『Kindle Fire』と同等レベルの機能を備えている」と述べる。Kindle Fireの価格は199米ドルである。
Bismuth氏は、「100米ドル以下という販売価格は、Android 4.0を搭載したタブレット端末の今後の売れ行きを決める重要な要素になるだろう」と述べている。
Bismuth氏は、顧客の関心が低価格のタブレット端末に寄せられていることを示す興味深い事例として、Hewlett-Packard(HP)のタブレット端末「TouchPad」を挙げた。HPは2011年8月、当時発売したばかりだったTouchPadの事業から撤退すると発表した。その際、TouchPadの在庫品の価格を機種ごとにそれぞれ99米ドルと129米ドルに引き下げたところ、48時間後には売り切れていたという。同氏は、「HPはTouchPadの事業から撤退する。つまり、顧客は将来的にサポートを受けられなくなるし、新しいアプリケーションも今後発売されることはない。それでも、消費者はTouchPadに飛び付いた」と述べている。
またBismuth氏は、MIPSが現在、Android 4.0を搭載したタブレット端末向けにMIPSアーキテクチャベースのアプリケーションプロセッサを開発する他のメーカーとも協力していることを明らかにした。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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