SpansionのCEOを務めるJohn H.Kispert氏は、2012年2月21日に東京都内で開催した説明会で、順調に事業が進んでいることを強調した。2012年後半〜2013年にかけて製造プロセスの微細化を進めた品種や、新しいカテゴリのメモリ製品の市場投入が続く。
NOR型フラッシュメモリの大手ベンダーであるSpansion(スパンション)は事業戦略説明会を2012年2月21日に東京都内で開催した。登壇した同社CEOのJohn H.Kispert氏は、「フラッシュメモリ製品群の強化や技術開発も着実に進み、今後数年にわたって成長する基盤が整ってきた。財務状況も健全になってきている」と語り、順調に事業が進んでいることを強調した。(1)製品強化/技術開発と、(2)財務状況の2つに分けて、説明会の内容をまとめよう。
製品強化/技術開発に関しては、2012年後半〜2013年にかけて製造プロセスの微細化を進めた品種や、新しいカテゴリのメモリ製品の市場投入が続く。具体的には、同社の生産量の80%を占める「MirroBit」技術を採用したNOR型フラッシュメモリの45nmプロセス品のサンプル出荷を、2012年後半〜2013年前半に始める。
既存の65nmプロセス品の投入を始めたのが、今からさかのぼること4年前の2008年。2009年3月1日にチャプター11(米国の連邦倒産法第11章)の適用を申請し経営再建に取り組んできたこと(関連記事)や、リーマンショックの影響もあり微細化の進展が遅れていたが、微細化をようやく1世代進めたことになる。
また、43nmプロセスを採用したNAND型フラッシュメモリを2012年後半に市場投入する。プログラムコードを格納するNOR型フラッシュメモリの他、低記憶容量のNAND型フラッシュメモリが求められる特定の製品カテゴリを対象に、記録容量が1G〜8Gビットの品種を製造する予定である。「品質や耐久性、製造コストのバランスという観点で、現時点で43nmプロセスが適している」(同氏)という。
同社が、現在力を入れて開発している新しいカテゴリの品種として紹介したのが、「PSS」と呼ぶメモリチップである。特定のアプリケーションに最適なプロセス/アーキテクチャを採用したチップで、NOR型メモリセルがチップ全体の80%程度の面積を占め、残り20%程度がロジック部となる。例えばジェスチャーパターンをメモリ領域に格納しておき、ロジック部でパターンマッチングさせるといった使い方を想定しており、音声やジェスチャー、画像の認識処理といったアプリケーションに適しているという。現在開発中で、2013年に量産を始める見通しだ。
次に財務状況については、「2012年のいずれかのタイミングで、現金/預貯金/短期投資額が、債務を上回る」(Kispert氏)という言葉を幾度か繰り返した。2011年第4四半期の現金/預貯金/短期投資額は2億6300万米ドルで、債務は4億5000万米ドルだという。「2011年第4四半期、市場状況は悪く底(ボトム)だったが営業利益を出すことができた。2012年以降は、ボトムを脱することや、新製品を投入する効果もあり、良好な財務結果が出せる」(同氏)。
同社は、2011年第4四半期の業績ハイライトとして以下の5つを挙げた。
Kispert氏は、フラッシュメモリの市場規模も順調に拡大し、同社がアプローチ可能な市場領域(Served Available Market)も年平均20%で成長するとみている。NOR型フラッシュメモリの市場で言うと、モバイル端末向けの市場規模は減るが、民生機器や産業機器、スマートグリッド、M2Mネットワーク、医療機器を対象にした市場規模は大きく伸びるとの考えだ。
<修正あり>:タイトルを、「フラッシュメモリ大手CEOが…」から「NOR型フラッシュメモリ大手CEOが…」に修正しました(2012年2月23日10時)。
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