250Mサンプル/秒動作の11ビット逐次比較(SAR)型A-D変換器ICである。消費電力を1.7mWと極めて低く抑えた。LTE-Advancedの他、次世代Wi-Fi「IEEE802.11ac」に対応する端末の受信部に使えるという。
ルネサス エレクトロニクスとベルギーの独立研究機関であるIMECは共同で、電力効率と変換速度を大幅に高めた逐次比較(SAR)型A-D変換器ICを開発した。携帯電話の広帯域無線通信規格「LTE-Advanced」や次世代Wi-Fi規格の「IEEE802.11ac」に対応する端末の受信部に使うことを想定する。米カリフォルニア州サンフランシスコで2012年2月19〜23日に開催された半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2012」で発表した。
分解能は11ビット。250Mサンプル/秒の変換速度で動作し、有効ビット分解能(ENOB)は9.5ビットが得られている。消費電力は1.7mWで、「同クラスにおいて世界最小」(ルネサス エレクトロニクス)を実現した。変換処理の電力効率の指標であり、値が低いほど効率が高いことを意味するFoM(Figure of Merit)については、250Mサンプル/秒動作時に1変換ステップ当たり10fJ(フェムトジュール)を達成している。これは「従来のA-D変換器の記録を大きく塗り替えるもの」(同社)だという。
このように高い電力効率を実現できた理由としては、A-D変換器ICとしては先端的な40nm世代のCMOS技術で製造したことに加えて、変換速度によらずに定常的に電流が流れて無駄な電力を消費してしまう回路構成ではなく、A-D変換器の全てのブロックを動的に動作させる回路構成を採用し、変換速度に比例した電力のみを消費する方式を採用したことを挙げている。
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