第4世代無線通信規格である「LTE-Advanced」に続く第5世代(5G)無線通信の技術開発が、始まろうとしている。ドイツのドレスデン工科大学は、世界に先駆けて5Gシステムの研究開発に着手することになりそうだ。
ドイツのドレスデン工科大学(TU-Dresden:Technical University of Dresden)は、次世代の無線通信規格「LTE-Advanced」に続く5G(第5世代)無線システムの技術開発に取り組む研究所を設立すると発表した。
同研究所は、世界に先駆けて5G無線システムを手掛ける施設の1つとなる。研究の成果は、国際標準規格の策定に活用される予定だ。注力する研究内容としては、さまざまな種類のシステム概念を手掛ける他、OFDM(直交周波数分割多重方式)技術のさらなる進展や、既存の8×8 MIMO技術を超える、複数のアンテナを使ったMIMO技術の適用拡大を掲げている。
現在は主に、3.5G/4Gシステムの開発が進められていることから、5Gシステムに関する研究はまだ初期段階にある。TU-Dresdenは以前も、無線通信技術における最先端研究を専門とするVodafone Chair Mobile Communications Systemsと共同で、他に先駆けて3Gシステムの研究を手掛けた。今回は、National Instrumentsの計測/制御用アプリケーションソフトウエア向けグラフィカル開発ツール「LabVIEW」を使用して、新しいコンフィギュレーションのモデリングを行ったり、PXI対応のモジュール式計測器を使用して試験結果を審査したりするという。
Vodafone Chair Mobile Communications Systemsを率いるGerhard Fettweis氏は、「National InstrumentsのRFツールとコミュニケーションツールを採用することにより、1つのソフトウェア設計フローだけを使ってOFDMの試作システムを設計できるようになる。また、同社のPXI対応のモジュール式計測器を使用すれば、SISO(Sigle Input Single Output)接続からスタートし、わずかなコード変更のみで、8×8以上などの複雑なMIMO構成に拡張していくことができる」と述べている。
National Instrumentsの共同創設者であり、プレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるJames Truchard氏は、「TU-Dresdenは、世界トップクラスの研究大学の1つだ。次世代無線通信システムの試作版の実現に向けて、革新的な研究を主導していくだろう。われわれは、未来の技術開発を加速する取り組みに参加できることを大変光栄に思う。最終的には、携帯電話機を使用する全ての人に対して大きな影響をもたらすことになるだろう」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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