球状セルや有機薄膜で実現、光を透過する「シースルー太陽電池」:国際太陽電池展 リポート(2/2 ページ)
シャープは、太陽電池に関する3つの最先端技術を展示した。その1つとなるのが、37.7%の変換効率を達成した技術である。これまでの36.9%から0.8ポイント向上した。セル周辺部のデッドエリアを縮小して有効な受光面積の比率を高めたことや、短縮電流密度を従来の14.1mA/cm2から14.6mA/cm2に高めたことなどが変換効率の向上に結びついたという。「この技術は、限られたスペースしか使えない人工衛星などの用途に有用だ」(説明員)という。
残りの2つは、新しいセル構造とすることで変換効率22.3%を実現した裏面電極型太陽電池「次世代BLACKSOLAR」と、11.9%の変換効率を達成した色素増感太陽電池である。
左側の写真が変換効率37.7%を達成した太陽電池セル。中央の写真は変換効率22.3%の裏面電極型太陽電池「次世代BLACKSOLAR」で、右側の写真は変換効率11.9%の色素増感太陽電池である。(クリックで拡大)
太陽電池セルの要素技術に加え、市場の拡大に向けた新しい提案も見られた。LGグループのLS産電は、水上に設置できる太陽電池モジュールを展示した。2011年11月には韓国にあるダムの湖面に設置され、出力100kWの商業発電も開始している。「陸上に設置する場合に比べて、水面の温度で太陽電池モジュールが冷却されるため、発電効率は10%増加する」(説明員)という。太陽電池モジュールについては、十分な防水、防湿対策などが施されている。
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