パナソニックは、結晶シリコン系太陽電池で変換効率24.7%を達成した。「100cm2以上の実用サイズにおいて結晶シリコン系太陽電池では世界最高の変換効率である」(同社)と主張する。
パナソニックは2013年2月、HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)太陽電池で、24.7%の変換効率を達成したと発表した。同社によると、変換効率はこれまでのHIT太陽電池に比べて0.8ポイント改善し、他の単結晶シリコン太陽電池より0.5ポイント上回っているという。また、試作品はセル厚みを98μmに抑えて変換効率を向上させており、「量産時のコスト低減にもつながる」(同社)とみている。
パナソニックのHIT太陽電池は、図1のように単結晶シリコンを同社独自のアモルファスシリコンで挟み込むハイブリッド構造となっている。こうすることで、電子の動きがスムーズになり、発電ロスも低減できる。その結果、高い変換効率が得られる仕組みだ。
HIT太陽電池のこのような特徴に加えて、今回は変換効率をさらに高めるため、3つの要素技術を新たに開発した。まず、キャリア(電荷)の再結合損失を低減する技術として、単結晶基板上に、基板表面へのダメージを抑制しながら、より高品質なアモルファスシリコン膜を形成する技術を確立した。この技術により、キャリアの再結合損失を低減し、従来は0.748Vだった開放電圧(VOC)を0.750Vに改善できた。
2つ目が光学的損失を低減する技術である。今回、単結晶シリコン基板を覆っているアモルファスシリコン層と透明電導膜層の光吸収損失を低減した。それに加えて、セル表面のグリッド電極の面積を小さくし、遮光損失も低減した。この結果、短絡電流密度(JSC)を、38.9mA/cm2から、39.5mA/cm2へと改善した。
3つ目は、抵抗損失を低減する技術である。電流がグリッド電極中を流れる際の抵抗損失を下げるために、グリッド電極の線幅に対する高さの割合(アスペクト比)を高めるなど、グリッド電極を改良した。これによって、曲線因子(FF)を0.822から0.832に改善することができた。
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