2012年のタブレット端末市場において、Intelの存在感はほぼないに等しかった。だが、ここのところ、Intelはタブレット向けSoCで確実にシェアを伸ばしてきている。
Deutsche Bank Securitiesが2013年4月29日に発表したリポートによると、Intelがタブレット端末市場での存在感を急速に高めているという。Deutsche Bank Securitiesのアナリストらは、「投資家はIntelがタブレット端末分野で相当な利益を生み出す可能性を軽視している」と指摘する。
Deutsche Bank SecuritiesのリサーチアナリストであるRoss Seymore氏は、IntelがWindowsベースのタブレット端末向けSoC市場で、90%以上のシェアを得ていると述べている。米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsが2013年4月24日に発表したデータによれば、2013年第1四半期のタブレット端末市場全体のうち、Windowsベースのタブレット端末が占めた割合は7.5%だった。
Seymore氏によると、IntelのAtom SoC(System on Chjp)である「Clover Trail」を搭載したWindows 8ベースのタブレット端末や、「Lexington」を搭載したAndroidベースのタブレット端末の出荷が伸びれば、2013年第2四半期におけるIntelのタブレット端末向けSoCの出荷数は、同年第1四半期と比べて倍増するという。
同氏は、2013年第2四半期におけるタブレット端末の出荷台数は、同年第1四半期から基本的に横ばいが続くと見込んでいる。いまだシェアで首位を維持するAppleのiPadの出荷台数が急落すると見込んでおり、これはIntelがタブレット端末向けSoC市場で大きなシェアを獲得することを示唆している。
「2012年には、Intelのタブレット市場における存在感はほとんどないに等しかった。そのため、2013年と2014年に存在感がいくらかでも増せば、シェアの獲得や収益の向上につながり、少なくとも本業のPC市場での不振を部分的に埋め合わせることができる」と同氏は述べている。
現在、Clover Trailを搭載したWindowsベースのタブレット端末は、449米ドルという低価格で入手可能である。このようなタブレット端末は、ARMのSoCを用いた製品と同等の性能や電力効率を実現しているので、ARMのSoCを使うことでもたらされる部品コスト削減の価値は下がることになる。
Seymore氏によると、Intelが2013年下半期に投入予定のAtom SoC「Bay Trail」は訴求力のある製品になり得るという。Bay Trailは、AndroidとWindows 8の双方に対応する初めてのSoCだ。タブレット端末メーカーは、このSoCを用いることにより、プラットフォームのデザインを簡易化できるほか、200米ドルという低価格帯を実現できるとしている。
Strategy Analyticsは、タブレット端末の世界出荷数は、2013年第1四半期に、前年同期比117%増となる4060万台と、過去最高になったと報告した。同社のタブレット端末リサーチ部門でディレクタを務めるPeter King氏は、「一般消費者や企業、教育機関からのタブレット端末の需要は引き続き高い」と述べている。
また、同氏によると、2013年第1四半期に世界で出荷されたタブレット端末のうち、Androidベースの製品が43%を占めたという。前年同期から34%増加したことになる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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