シャープが発表した2015年度を最終年度とする中期経営計画は、半導体などの電子デバイス部門で、他の部門よりも高い成長目標を掲げている。サムスン電子との「戦略的アライアンス」などを成長の原動力としていく。
経営再建中のシャープは、2015年度(2016年3月期)に売上高3兆円、営業利益率5%の達成などを掲げた2013〜2015年度の3カ年中期経営計画を発表した。半導体を中心とした電子デバイス事業も強化を進め、2015年度事業部門売上高として2012年度(2013年3月期)実績を約900億円上回る3600億円を売り上げる計画である。3年間の年平均成長率は10%で、液晶事業やデジタル情報家電事業を含めた全事業部門の中で最も高い成長率目標となっている。
新たな中期経営計画の基本戦略として「勝てる市場・分野へ経営資源をシフト」「自前主義からの脱却、アライアンスの積極活用」「ガバナンス体制の変革による実行力の強化」の3点を挙げる。電子デバイス事業部門でも、この基本戦略に基づいた強化を進めていく。
「勝てる市場・分野へ経営資源をシフト」するための戦略としては、スマートフォンに代表されるような世界での事業規模が競争を左右する「グローバル・スケール市場」から、顧客タイプごとにグローバルの付加価値の追求ができる「グローバル・バリュー市場」に軸足を移していく。具体的には、「No.1カテゴリー」と位置付けるカメラモジュール、センサー分野を徹底して強化する。同時にユニット化、システム化といった複合デバイス化を進めて付加価値の向上、利益確保を図っていく。
立て続けに締結した鴻海精密工業などとの戦略的アライアンスは、液晶事業での大口顧客確保の印象が強いが、電子デバイス事業としても積極的に活用しているようだ。このほど約104億円の出資を受けたサムスン電子とのアライアンス(関連記事:シャープがSamsungとの提携を正式発表、IGZOなどの技術関連は含まず)では、大型液晶パネルで安定受注効果をもたらしている他、電子デバイスでもモバイル機器向けで受注拡大につながっているとした。
電子デバイス事業部門の営業損益は、2012年度実績で155億円の赤字を計上したものの、下期(2012年10月〜2013年3月)は82億円の黒字を計上。2013年度は通期で120億円の黒字を予想している。
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