日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)の「PXI」は、ソフトウェアでさまざまな機能を追加できるハイエンド向けの計測器だ。モジュールを必要なだけ付け足していくタイプの計測器で、数チャンネルの小さな計測システムから、数百チャンネルという巨大なシステムまで柔軟に構築できる。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)の計測器「PXI」は、“ソフトウェアで設計できる計測器”をコンセプトとしている。シャーシ(筐体)に、CPUやリアルタイムOSを搭載した「コントローラ」と、信号の入出力の部分に当たる「モジュール」を組み合わせて構成する。
モジュールは、スイッチやデータ集録からRF信号集録まで、500〜600種類をそろえている。モジュールを用途に合わせて選択し、組み合わせることができるので、柔軟な計測システムの構築が可能だ。用途も、ノートPCのプリント基板の検査から、航空機のノイズの計測まで幅広く対応できる。
PXIの特徴は、「FPGAを内蔵し、そのFPGAに実装する処理をユーザーが書き換えられる点」(日本NI)だという。書き換えは、同社のグラフィカル開発ツール「LabVIEW」を使って行うので、FPGAのプログラミングの経験がなくても容易にFPGAを書ける。「ソフトウェアで設計できる計測器」と日本NIがうたうように、LabVIEWでFPGAの処理内容を書き換えられる点が、PXIの柔軟性と拡張性を生んでいる。
さらに、ナノ秒レベルで複数のモジュールを同期できる点も大きな特徴となっている。一般的な計測器を複数台接続するときは、GPIBやイーサネット、USBなどを使うが、これらのインタフェースだと、どうしても通信速度が遅くなるという。
そこで、PXIのモジュールには、PCI ExpressをベースにNational Instrumentsが独自に開発した「PXI Express」を採用した。「PCI Expressに、同期バスが加わったようなインタフェース」(日本NI)だという。250Mバイト〜数Gバイト/秒の速度で通信が可能で、複数のモジュールをナノ秒レベルで同期できる。そのため、何百チャンネルを使用してデータを計測するような用途に適しているという。さらに、複数台のPXIを離れた場所に設置しても、GPSのクロックを使ってそれらのPXIを同期することもできる。
今後は、RF計測用モジュールのラインアップの充実を図る。現在、RF信号アナライザやRF信号発生器などのモジュールがあるが、これらの周波数範囲の最大値は、2.7〜8GHzだ。日本NIは、「顧客の要望に応えるには、より周波数範囲が広いモジュールや、最新の無線規格に対応するモジュールをそろえていく必要がある」と説明する。
なお、日本NIでは、PXI RF計測器の導入を支援すべく、ベクトル信号トランシーバシステムを約30%割引で購入できるキャンペーンを行っている(詳細はこちら)。
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