ルネサス エレクトロニクスは、「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)でUSBで最大100Wの電力が供給できる仕様「USB Power Delivery Specification(USB PD)」のデモを公開した。
ルネサス エレクトロニクスは、「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)でUSBで最大100Wの電力が供給できる仕様「USB Power Delivery Specification(USB PD)」のデモを公開し、2014年4〜9月にもUSB PD対応のコントローラICを製品化する方針を明かした。
USBによる給電能力は、従来のUSB2.0規格では5Vで最大500mA、USB3.0規格では5Vで最大900mA。USBバスパワー仕様を拡張したBattery Charging Spec 1.2仕様でも5V、最大1.5Aと10Wを下回る給電能力だった。そのため、USB給電は、モバイル機器の充電や小型周辺機器の駆動などに限られた。
USB PDは、ノートPCをはじめ、デスクトップPCや大型モニターなど消費電力の大きい機器にもUSBを介して給電することを目指した仕様で、2012年に策定された。給電能力は、電圧はこれまでの5Vの他12V、20Vの3種類から、電流も1.5A、2A、3A、5Aの4種類から選択でき、20Vと5Aの組み合わせで最大100Wの電力が供給できる。
USB関連半導体製品を展開するルネサスでは、USB PD機能を機器に組み込むためのIC製品の開発に着手。今回、FPGAやディスクリート半導体を使った試作ボードを使用し、12V駆動の3.5インチHDDへのUSB PDによる給電をデモした。
USB PDの動作は、まず、機器間でUSB PD対応かどうか、給電する電圧値、電流値を従来のUSB通信でネゴシエーションした後、USB PDの給電が開始される。これまでのUSBバスパワーでは、ホスト側からデバイス側への給電に限られたが、USB PDでは、給電方向も変えることができる。
ルネサスでは、2014年4〜9月にも、USB PDコントローラICを製品化する方針。「100Wなど大電力の給電では、低抵抗なケーブルなどが必要になり、技術的な課題もある。まずは、タブレット端末の急速充電やノートPCへの給電といった18〜36Wクラスからの利用が始まるだろう。また将来的にも40〜60Wクラスでの利用がUSB PDの主流になるだろう」(説明員)としていた。
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