データ復旧サービス企業は元々、ハードディスク装置(HDD)のデータ復旧サービスを本業としてきた。フラッシュストレージの普及により、HDDに加えてSSDやUSBメモリ、スマートフォン、メディアタブレットなどをサービス対象に含めるようになった。SDカードやメモリースティックなどのNANDフラッシュカードも、データ復旧の対象となっている。
これだけストレージが普及すると、「データ消失の悲劇」を経験しないユーザーが珍しく、大半のユーザーは「悲劇」を経験したことがある、と予想できる。そして実際、その通りなのである。Knoll Ontrackが2011年に公表した調査データによると、HDDやSSD、フラッシュメモリなどでデータ消失を経験したユーザーの割合は99%を超える。もしあなたがデータ消失を経験していないのだとしたら、100人に1人の幸運に恵まれていると言える。
当然ながら、「データ消失の悲劇」を経験する回数は1回で済むとは限らない。公表されたデータによると、2回以上の悲劇を経験したユーザーは59%、3回以上の悲劇を経験したユーザーは30%に達する。筆者は幸いにして、データ消失の経験回数は1回(それもSSDだけ)で済んでいるが、それでも相当な精神的ダメージを受けた。これを3回も経験したら、ストレージに対して強い不信感を持ってしまうだろう。
福田 昭(ふくだ あきら)
フリーランスのテクノロジージャーナリスト/アナリスト。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.