QDレーザと東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構は2015年3月2日、目が見えにくい人への介護/支援に用いる「ロービジョンケア」に向けた網膜走査型レーザーアイウェアのプロトタイプを開発したと発表した。今後、教育機関などと連携して検証を行い、2016年3月までに商品化する。
QDレーザと東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構は2015年3月2日、目が見えにくい人への介護/支援に用いる「ロービジョンケア」に向けた網膜走査型レーザーアイウェアのプロトタイプを開発したと発表した。フォーカスフリーなどの同レーザーアイウェアの特徴を生かして、ロービジョンケア用途での性能検証を進めながら、視覚補助器として製品開発を実施し、2016年3月までに商品化する。
両者が開発するレーザーアイウェアは、超小型半導体レーザープロジェクタを眼鏡フレーム上に配置し、装着者の網膜をスクリーンとして、デジタル画像を映し出すもの。プロジェクタのため小型のデバイスでも大画面表示が行いやすい他、網膜の任意の位置に画像を直接描画できる。瞳孔近傍に光束を収束させた後、網膜に照射する「マクスウェル視光学系」の応用により、光学的にフォーカスフリーとなるため、視力にかかわらずクリアな像を見ることができるという特徴を持つ。
さらに、RGB(赤・緑・青)単色光源を用い高輝度、高い色再現性を持ち「光学ユニットを眼鏡フレームの内側に配置でき、アイウェアの外観に違和感がない」(QDレーザ)とする。
今回ロービジョンケアを目指して開発した網膜走査型レーザアイウェアは、眼鏡フレーム中央にカメラモジュールを搭載した他、両眼視対応や光学的輝度調整機能、多段階フィッティング機能を搭載。眼鏡フレームを覆うカバーによる遮光機能なども取り入れ「ロービジョンケアに有効な機能を備えている」(同社)。
両者は開発したプロトタイプを使用し、国内の大学医学部眼科教室や教育機関などと連携しさまざまな利用者を対象とした調査を行い、視覚補助器として使用することの有用性と安全性を明確にする方針。その後視覚補助器としての仕様、デザイン、ユーザーインタフェースを最適化して2015年9月に量産用の試作器を完成させ、2016年3月までに商品化する計画だ。
また両者は「さらなる低電力化、小型化、形態最適化により、医学検査機器や作業現場支援へ展開を進めるとともに、2017年に真のスマートグラス実現を目指して行く」としている。
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