スマートグラスの市場は、今後5年間で大幅に伸びると予測されている。そのきっかけとなるのが、Googleの「Google Glass」だ。ただし、スマートグラスの成功は、ハードウェアそのものよりもアプリ開発にかかっている。
英国の調査会社であるIMS Researchによると、ウェアラブル機器の1つであるスマートグラスの世界市場は、Googleの「Google Glass」をきっかけに拡大し、2012年から2016年の出荷数が約1000万台になる可能性があるという。
IMS Researchの予測によると、スマートグラスの出荷台数は、2012年にはわずか5万台だったが、2016年には660万台にまで増加し、5年間の総出荷台数は940万台に達するという。2013年は、主にアプリ開発業者に向けた売り上げに支えられる形で、成長率は150%となり、出荷台数は12万4000台に達する見込みだ。
スマートグラス市場の拡大が本当の意味で加速するのは、一般消費者が初めてGoogle Glassを入手できるようになる2014年だろう。楽観的な予測に基づくと、2014年にはスマートグラスの出荷台数は前年比で250%増加するという。
Google Glassのようなスマートグラスは、ヘッドマウントディスプレイを備えたウェアラブルコンピュータだ。Googleは2013年5月、同社のホームページに登録したアプリ開発者向けに、価格1500米ドルでGoogle Glassの出荷を開始した。Google Glassをマスマーケットに広げるきっかけとなる革新的なアプリ開発が進むと期待されている。
Googleはアプリ開発者に対し、ベンチャーキャピタルを通じて資金援助を促している。このような取り組みもあり、Google Glassの出荷数は大幅に増え始めるとみられる。
いずれにせよ、Google Glassの成功は、Google Glass向けに開発されるアプリによるところが大きい。アプリ開発者がGoogle Glass向けの強力なソフトウェアを生み出せなければ、今後数年間の出荷台数は低くなる可能性がある。
IHS iSuppliのシニアアナリストであるTheo Ahadome氏は、「Google Glassの成功には、ハードウェアよりもアプリの方がはるかに重要である。Google Glassの実用性はすぐに分かるものではなく、アプリの訴求力で全てが決まる。だからこそ、ハードウェア開発ではあまり成功していないGoogleのようなソフトウェア志向の企業にとっても、スマートグラス市場にはビジネスチャンスがあるのだ。Googleは、Google Glass向けの強力なアプリが開発されるよう、全力を尽くしている」と分析している。
【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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