Intelにとって過去最大規模となったAlteraの買収。x86プロセッサとFPGAを統合することで、新しい製品の開発や、これまでにない分野を狙える可能性はある。Alteraにとっては、Xilinxからシェアを奪うきっかけになるかもしれない。一方で、今後AlteraとのビジネスにIntelが絡んでくることに不安を抱く既存顧客が、Xilinxを頼るようになるのではないかと見るアナリストもいる。
Alteraを167億米ドル(約2兆円)で買収すると発表したIntel。買収によって両社が得られるものはあるものの、今回の買収劇は「割に合わない」と見ているアナリストらも存在する。半導体業界では大型買収が相次いでいるが、他の案件に比べて、IntelのAltera買収については、疑問が増えるばかりである。
アナリストらは、Intelが「買収により、売上高が7%増加する可能性がある」と言及したことに対して、疑問を持っている。Intelは、この買収によって、Alteraが長年のライバルであるXilinxからシェアを奪い取るためのきっかけを与えられるかもしれない。だが、Intelの過去の買収の成果はいまひとつで、それを考慮すると、そうした可能性にも疑問がわく。
カンファレンスコールで、IntelのCEOであるBrian Krzanich氏は、サーバやその他の組み込みシステム(具体的には決まっていないという)向けに、両社の製品を統合したものを2016年後半に発表すると述べた。最初の製品は、x86系プロセッサとFPGAダイを1パッケージに搭載したものになるという。
サーバ向けコプロセッサとして使用されるFPGAの市場規模は年間10億米ドルといわれる。だがIntelは、同市場はそれよりも大きいのではないかと見ているという。「x86系プロセッサとFPGAを1パッケージに搭載したようなICがあれば、GoogleやFacebookといった巨大なIT企業は、同じサーバで検索や暗号用のアルゴリズムを実行するという今の仕組みから、すぐさま移行する可能性がある」と、Krzanich氏は提言する。
市場調査会社The Linley Groupのアナリストで、長年Intelを見てきたLinley Gwennap氏は、「(統合したICの市場投入を)サーバ市場におけるIntelの基本的な戦略だとは思っていない」と述べる。「データセンターでFPGAを実験的に使う取り組みはこれまでもあり、期待できそうな成果は上がっている。ただし、実際の実装はそれほど進んでいない」(同氏)。
ある調査によると、Microsoftは、検索アルゴリズムのスピードを上げるために、AlteraのFPGAを使い始めているという。また、Microsoftと中国のBaiduは、FPGAの他の用途も探っていると話している。HPは2015年5月に、同社の「Moonshot」サーバにFPGAカードをオプションとして搭載すると発表した。ただ、Googleは、FPGAを採用することについては特に積極的にはなっていないようだ。
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