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IntelのAltera買収は成功するのか――Xilinxの存在感が増す可能性もアナリストたちの見解は(4/4 ページ)

» 2015年06月03日 07時00分 公開
[Rick MerrittEE Times]
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Xilinxの存在感が増す?

 GartnerのアナリストであるMark Hung氏は、「今回の買収は、Alteraに、Xilinxを追い抜くためのリソースを与えることになるだろう。AlteraはXilinxからシェアを奪い始めると思われる」と分析する。

 Gwennap氏もこれに同意しているが、懐疑的な見方もしている。「Xilinxは常に、売上高においてAlteraを上回ってきた。買収によって、FPGA市場はより公平なものになる可能性はある。だが過去の買収実績を見る限り、Intelは他社(買収先)の能力を引き出すことに長けているとは言い難く、もし(Alteraの)キーパーソンが会社を離れ、製品の発表が遅れれば、逆効果になりかねない」(同氏)。

 Gwennap氏は、Intelが、Infineon Technologiesの無線事業の買収を例に挙げた。同事業は、LTE対応ベースバンドチップなど主要な分野において、いまだにQualcommの後を追っている。同氏は、「Intelはこの事業に多額の資金を投入しているが、無線事業を買収した当時に比べて業績は改善していない」と述べている。

 多くの金融アナリストとは反対に、Raymond JamesのHans Mosesmann氏は、買収が発表された後、Xilinxの評価を上げた。同氏はリポートの中で、「Intelが関わっていくであろうAlteraとのビジネスに対して漠然とした不安を抱く重要顧客にとって、Xilinxの存在は大きいだろう。Intelは、従来の汎用的なFPGAの市場セグメントの優先度を“格下げ”する可能性があるからだ」と書いている。

 Jones氏は、「Xilinxは、データセンター市場でIntelと戦うために、先回りして準備しておく必要がある」と述べる。「とりわけ、FPGAベンダーは、イーサネットや光ファイバー、SerDesといった分野向けの製品の開発やライセンス供与を加速した方がよい。さらに、AMDやAvago/Broadcom、NVIDIAなどと、データセンター関連で協業しておくことも重要だろう」(Jones氏)。

photo FPGA市場の成長予測。通信向けが大きな割合を占めている

 Avago/Broadcom、NXP/Freescaleと同様に、IntelとAlteraのコンビも、通信分野と組み込み分野の売り上げにおいて、新しいシナジー効果を生み出すだろう。Gwennap氏は、「実質的に、FPGAを搭載したあらゆるシステムにはプロセッサが搭載されている。そして多くの場合、それはIntelのプロセッサだ」と話す。「こうした背景から、IntelとAlteraは、製品ラインアップを拡充すれば、顧客からあとほんの数米ドルの売り上げを引き出せるかもしれない。ただ、売上高のシナジー効果が薄ければ、Intelがあれだけの買収金額を支払うことを正当化しないだろう」(同氏)。IntelがAlteraに買収を持ちかけていることが初めて報道された2015年3月26日(米国時間)、Alteraの株価は、35米ドルから45米ドルに上昇した。同社の株価は2011年から35米ドル付近でとどまっていた。

 Intelは、Alteraの株に対して1株当たり54米ドルを支払う。買収の完了には6〜9カ月を要する見込みで、完了するまでは両社は引き続き別会社として機能する。今回の買収は、両社の取締役会から既に全会一致で承認されている。

【翻訳/編集:EE Times Japan】

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