居眠り対策と追突回避にみるクルマの先進技術 : フリースケール開発者会議(FTF)レポート(4) (3/3 ページ)
続いて、「四肢が麻痺(まひ)していても運転可能な自動車」の開発プロジェクトが紹介された。電子部品商社のArrow Electronicsが主導して進めているプロジェクトで、Freescaleは圧力センサーの供給などでプロジェクトに協力している。
開発プロジェクトの名称は「SAM(Semi-Autonomous Motorcar) Project」。SAMはインディカーレースのレースドライバーであるSam Schmidt氏のファーストネームでもある。Sam Schmidt氏は2000年に予選走行中の事故で脊髄を損傷し、四肢が麻痺してしまった。つまり、普通のクルマを運転することはできなくなった。同氏が再びドライビングを楽しめるクルマ、究極的にはレースに参戦できるクルマを開発することが、SAMプロジェクトの目的である。
開発した自動車は、首から上だけでハンドルとアクセル、ブレーキを操作する。会場にはシミュレータが持ち込まれ、実際に自動車を操作する様子を開発スタッフが見せてくれた。頭を左右に振ることでハンドルを操作し、口にくわえた細い管に息を吹き込むことでアクセルを踏み込み、口にくわえた細い管から息を吸い込むことでブレーキをかける。慣れると、複雑なレイアウトの道路でもコースを外れずに走行できるようになる。
左=左がArrow ElectronicsのChairman, President and CEOをつとめるMike Long氏、中央がFreescaleのLowe氏、右がインディカーレースドライバーのSam Schmidt氏 / 右=Sam Schmidt氏が運転可能な車両。コルベットC7スティングレイの2014年モデルがベース車両である。いずれも2015年6月23日に撮影(クリックで拡大)
左=開発車両の後部トランクに積まれた機器類 / 右=運転中のSchmidt氏を撮影した映像。いずれも2015年6月23日に撮影(クリックで拡大)
(次回に続く)
「路面凍結に注意!」 クルマ同士が道路情報をクラウドでシェア
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100人のクルマ通勤者が協力、ボルボが自動運転の実験を一般道路で実施
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グーグルが変える? 自動運転車の役割
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安価な自動運転車の実現へ、フォードと米大学
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