参加者のモバイル端末と設置された機器を連携するときは、独自に開発されたユーザーが持つモバイル端末の位置とIDを同時に検出できるセンシング技術が用いられている。
正確な位置は分かるが端末IDを特定できない環境センサーと、端末IDは分かるが位置を把握できないモバイル端末内にある慣性センサーの情報をひも付けることで実現した。特定のモバイル端末の画像を共有・表示することが可能になる。
モバイル端末の画面が壁や机に表示されているときは、他の人でも端末の操作が可能になるので、セキュリティ面での不安は残る。しかし、「壁や机に画面を表示できるのは端末とひも付けられている人だけで、表示されているときは所有者がその場にいることが前提となるためセキュリティに問題はないと考えている」(同社)という。
「このような大掛かりな技術を使わなくても、今までのワークショップの手法では駄目なの?」という声もあるだろう。同社は、「ワークショップや会議などで出される多くのアイデアを、アナログで広げて議論するのは厳しくなっている。デジタル化することで、1つのアイデアを選んだときに、それに関連し、ひも付いているアイデアが出るようになれば、恐らく創造性は数倍にあがるのではないだろうか」と語る。
デジタル化することによるメリットは他にもあるという。1つ目は、デジタル化することで議論を交わした場を再現できるので、ワークショップや会議の続きを行えることだ。2つ目は、そのデータを参加者全員に容易に共有できるという利便性である。
同技術は2015年8月より、HAB-YU platformで開催されるワークショップに導入し、2016年3月をめどに検証を行う。検証は参加者のモバイル端末を利用するのではなく、貸し出される端末を使用する。今後は、全ての端末への対応、持ち運びができるような小型化の実現、遠隔にいる人と一緒に作業ができる技術などを検討しているという。
同技術は、企業の会議室や学校の教室、ショールームなどに展開を予定。実証実験を重ね、2016年度中にハードウェアを含めた形で発売できるように計画しているという。
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