インフィニオン・テクノロジーズは、同社の高周波レーダーチップの出荷個数が1000万個を突破したことを発表した。最大250mの範囲で物体を認識できる77GHzのチップで、2016年には自動車の20台に1台が、同チップを採用した運転者支援システムを搭載するという。
インフィニオン・テクノロジーズは2015年8月、同社のレーダー方式の運転者支援システムで使用する77GHzチップの出荷個数が1000万個を突破したことを発表した。
インフィニオンが過去6年間で出荷された1000万個のレーダーチップは主に高級車に搭載されてきた。2016年は小型、中型車でも採用が広がり、最大1000万個のレーダーチップが採用されると予想している。予想通り出荷されれば、自動車の20台に1台が同社のチップを採用した運転者支援システムを搭載することになるという。
市場調査会社のStrategy Analyticsは、車載用セーフティシステムに対する需要は増え続け、距離警告システムや自動緊急ブレーキなどのアプリケーションの今後5年間の年間成長率を25%以上と予想している。
この成長の要因の1つに、欧州で販売される新車の安全性を評価する第三者機関、ユーロNCAP(欧州新車アセスメントプログラム)の評価スキームが挙げられる。ユーロNCAPで最高評価の5つ星を獲得するには、レーダー方式の運転者支援システムを新車に搭載することが必須要件だからだ。
Strategy Analyticsは、2020年に製造予定の新車1億500万台のうち、レーダー方式の距離警告システムを採用する自動車の台数を2000万台以上と予想している。世界の全新車の約20%にあたる数字だ。
レーダー方式の運転者支援システムは、無線周波数電磁波を送信し、前方の車両や物体に反射して戻ってくる。同社のチップは、反射して戻ってきた高周波信号を送受信し、レーダー電子制御ユニット(ECU)に引き渡す。次にレーダーECUは、車間距離や他の自動車の走行速度を判断することで、適切なタイミングでドライバーに警告を発し、緊急時にはブレーキ動作を開始できる仕組みとなっている。
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