今回は、ASMLのEUV(極端紫外線)露光装置の開発ロードマップを紹介する。次期主力機「NXE:3350B」は、16nmの解像を目標に開発が進んでいるという。「NXE:33x0」シリーズとしては、2016年には光源出力を250W、生産性を1500枚/日に向上させるなど、強気な目標を立てている。
SEMICON West 2015リポートでは第4回から、半導体露光装置の最大手ベンダーASMLによる、EUVリソグラフィ開発の最新状況に関する講演の概要をご報告している。講演者はASMLのMike Lercel氏、講演タイトルは「Industrialization of EUV Lithography: Progress Update」である。
前回では、EUV露光装置開発の歩みを簡単に振り返った。現在の主力機は第3世代の「NXE:3300B」である。いくつかの顧客(半導体メーカーやシリコン・ファウンドリ、半導体製造技術の研究開発組織など)に納入されており、EUVリソグラフィ技術の開発に役立っている。
次期の主力機は第4世代の「NXE:3350B」である。今年(2015年)の第3四半期に出荷を始める予定となっている。2015年7月15日にASMLが公表した四半期業績発表資料によると、4台の受注実績があり、2015年中に5台を出荷する計画になっている。年内に累計で6台を受注することが目標である。なおNXE:3350Bは、第3世代機のNXE:3300Bを改造することによってNXE:3350Bにアップグレードするオプションがある。7月15日の時点では、アップグレードの受注はまだないようだ。
SEMICON West 2015の講演でASMLは、次期主力機「NXE:3350B」の概要と要素技術を一部、明らかにした。製品仕様は解像度が16nm(前世代のNXE:3300Bは22nm、以下同様)、フルウエハーでのCDU(Critical Dimension Uniformity)は1.3nm以下、重ね合わせ誤差(DCO)は1.5nm以下(3.0nm以下)、装置間の重ね合わせ誤差(MMO)は2.5nm以下(5.0nm以下)、スループットは125枚/時間以上(55枚/時間〜125枚/時間)である。
要素技術では、開口絞り付き変形照明、紫外線レベルセンサー、温度制御付きレチクル・ステージ、透過率を高めるとともに変形を減らした光学系、温度制御を改良したウエハー・ステージ、位置合わせセンサーの改良、ウエハー・テーブル清掃の自動化、といった工夫を盛り込んだ。
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