Qualcommの低迷が続いている。同社の2015年度第4四半期(7〜9月期)は減収減益となった。ただし、明るい兆しもある。最新のプロセッサ「Snapdragon 820」が、60ものデザインウィンを獲得したことだ。
Qualcommは2015年11月4日(米国時間)、2015会計年度第4四半期(7〜9月期)決算を発表した。同四半期は、売上高、利益ともに減少したという。同社は同決算報告の中で、「スマートフォン市場は、2016年も成長の減速が続く見通しだ。こうした中、中国のスマートフォンメーカーはシェアを拡大すると予想される。スマートフォンに搭載される半導体の価格は2016年も下落が続くとみられるが、2015年ほど急激な下落ではないと予想される」と述べている。
スマートフォン市場の動向は、2つの懸案を抱えるQualcommにとっては特に厳しいものとなっている。Qualcommは、スマートフォン市場第2位のベンダーであるSamsung Electronicsのハイエンドスマートフォンのデザインウィンを獲得できなかったことによるダメージをまだ引きずっている。さらに、低価格でのライセンス供与を求める中国政府の要請に同意したことから、現在もなお、中国メーカー各社とライセンス取引に関する再交渉が続いている*)。
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Qualcommは、2015会計年度第4四半期決算報告の中で、「2016年の3G/4Gスマートフォンの世界売上高は、2015年から7〜13%増加すると予想される」と述べている。2015年(前年比11〜17%増の見通し)と比べると成長率は鈍化している。これに対し、中国メーカーは、前年比15〜16%で成長すると予想されるという。ただし、価格の下落によって、売上高の増加は1桁台にとどまるとみられる。
Qualcommのプレジデントを務めるDerek Aberle氏は、金融アナリストとの電話会談で、「2016年はスマートフォンの平均販売価格(ASP)がさらに下落すると予想される。ただし、中国メーカーがスマートフォン市場への注力を高め、中国製スマートフォンのASPが上昇を続け、国外メーカーの価格と並ぶ勢いであることなど複数の理由から、下落率は2015年の半分程度にとどまると予想される」と語った。
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