世界最大の携帯電話機向けチップメーカーであるQualcomm(クアルコム)と中国政府が特許料の支払いを巡って、にらみ合っているとようだ。
Qualcomm(クアルコム)は2014年11月5日に行った2014年9月期第4四半期の決算発表で、中国の携帯電話機メーカーがロイヤルティーの支払いを避けるため、「何億台もの携帯電話機の販売台数を報告していないと確信している」と強く非難した。四半期決算が堅調な伸びを維持し、次期(2015年9月期)の見通しも明るい中で、このニュースは将来に懸念を残した。
Qualcommは同社製のチップを搭載した携帯電話機は2014年に13億台が、2015年には15億台が販売されると見込んでいる。だが、携帯電話機メーカーは2014年の販売台数を10億4000万台から11億3000万台と報告するとみられ、Qualcommの予測とは1億7000万台から2億6000万台の差がある。
一方、中国国家発展改革委員会(NDRC:National Development and Reform Commission)は、Qualcommのビジネス慣行の調査を続けている。
Qualcommは声明の中で「中国の特定のライセンシーは現在、認可された製品の売り上げを当社に報告するという契約上の義務を十分に順守していない(3Gおよび4Gデバイスの売り上げの一部を実際よりも少なく報告している特定のライセンシーや、既に係争中のケースを含む)。また、NDRCによる調査が進む中、無認可企業は新しいライセンスの実施を遅らせようと狙っている可能性がある」と述べた。
特許使用許諾による収益は、Qualcommの全体の収益の中で長年大きな割合を占めてきた。その結果同社が数々の特許料支払いを巡る係争に引きずり込まれてきたのも事実であるが、中でも中国政府は最も強力な敵といえよう。今回Qualcommは、中国のモバイル機器メーカーによる契約不履行の疑いを公表したわけだが、そうした戦略が特許争いの解決を後押しするかどうかは時間が過ぎなければ分からない。
ただ、特許争いを抱えているにもかかわらず、Qualcommは堅調な成長を維持している。2015年9月期第1四半期(2014年10〜12月)と2015年9月期通期の売上高は9%も伸びる見込みだという。
チップセットの2015年9月期第1四半期の売上高は17〜27%伸びる見込みで、平均販売価格(ASP)は下落するという。2015年9月期通期の同売上高は1〜11%伸び、ASPは横ばいを見込んでいる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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