Beltman氏は、「RF技術は将来的に、基地局や放送局から無線信号を長距離伝送する以外にも利用されるようになる」と主張する。同氏は、「RF技術は、近距離のエネルギー伝送に適用できる。近距離エネルギー伝送は、“RF電子レンジ”や“RFプラズマ電球”などの新たな製品を生み出す可能性を持った技術だ」と述べている。
Ampleonは現在、携帯電話基地局向けRF市場で世界第2位、放送局向けでは第1位のシェアを誇る。
「RFは今後、どういった用途に利用されるか」という質問に対し、Beltman氏は、迷うことなく「調理機器」と答えた。
もちろん、同市場を狙う企業はAmpleonだけではない。
Freescaleは2015年6月に開催した開発者向けイベント「Freescale Technology Forum(FTF)*)」で、RF電子レンジ実現の可能性について語った。同技術は、調理エネルギーのサイクルや位置、レベルを調節することで、従来の電子レンジよりもはるかに正確にエネルギーを照射できる。RF電子レンジは、食品の温度を感知して、冷凍した食品を素早くムラなく調理できるという。
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RF電子レンジは、2016年1月に開催される「International CES」(米国ラスベガス)には出品されないだろう。だが、2016〜2017年にかけて民生機器市場を席巻するに違いない。
RF市場では、NXPがトップに立ち、Infineon Technologiesが後を追っている。その同市場において、Ampleonはどう差異化を図っていくのだろうか。Beltman氏は、「効率と、RF製品群の“一気通貫”によって差異化を図る」と述べる。NXP時代を含めると、AmpleonはRFパワー技術において20年以上の経験を持つことになる。「当社は、LDMOS(横方向拡散MOS)とGaN製品において、幅広いポートフォリオを持っている。そのため、RFパワー関連の製品を完全な“パッケージ”として提供できる」(同氏)。
NXPは、18億米ドルでRF事業をJAC Capitalに売却した。Beltman氏は、5年以内にIPO(新規株式公開)を果たしたいという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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