共同研究グループは、まず強誘電ドメイン壁を動かすのに必要な電界強度の強さと、その温度依存性を調べた。そうしたところ、量子臨界点からやや離れた0.34GPaでは、物質を取り巻く環境が低温になるにつれ、抗電界の強さは4kV/cmから15kV/cmへと4倍近く上昇した。一方、量子臨界点に近い0.26GPaでは、温度が低くなっても抗電界の強さは3〜4kV/cmで、ほとんど変化しなかった。このことから、量子臨界点近傍での強誘電ドメイン壁の動きは、量子揺らぎに基づくものであることが分かった。
今回の測定結果から、量子臨界点近傍の圧力における強誘電ドメイン壁の有効質量は、水素原子の質量の約1/3〜1/2程度ということが分かった。TTF-QBr2I2を構成要素とする有機強誘電体の場合、分子の質量と同程度の有効質量を持つと予測されたが、解析から見積もられた有効質量は、予測よりはるかに軽いことが分かった。
強誘電ドメイン壁の運動の検出。左は強誘電ドメイン壁が強誘電体中を運動する様子の模式図、右は緩和時間(ある安定点から隣の安定点に移動するのにかかる特徴的な時間)の温度依存性を示した図 (クリックで拡大) 出典:理化学研究所
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