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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年05月18日 11時30分 公開

1cm角の全固体リチウムイオン電池、IoT向けに発進実用化が現実的に(2/2 ページ)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]
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滑らかな表面が鍵に

 Stereaxの開発には、HT-PVDが次の2つの点で大きく貢献した。1つ目は、電解質/電極に最適な材料を開発できたこと。2つ目は、HT-PVDでは表面が滑らかな薄膜を作成できるということだ。Stereaxは、まずは正極を形成し、その上に電解質、負極を重ねていく。その際、表面の凹凸が少ないほど膜厚は薄くなる。膜厚が薄いほどイオンは速く移動できる。つまりイオン伝導度が高くなるので、電解質としては薄いほど性能がよくなるのだ。

 StereaxをHT-PVDで製造する場合、現時点では1ウエハー当たり数日かかるという。ただし、HT-PVDはあくまで研究開発用の装置であり、OEMがStereaxを量産する時はHT-PVDを製造ラインに合わせて最適化した装置を使えばいいとHayden氏は説明する。

積層して容量増加も可能に

 今後のロードマップとしては、3つの方向を目指す。1つ目はさらなる小型化だ。現在は1cm角だが、それを1mm角まで小型化するのが目標だという。これくらい小型になると、医療用カメラのバッテリーなどに使える可能性も出てくる。

 2つ目は、容量を増加するためにバッテリーセルを積層することである。「現時点では容量を4倍(4層を積層)くらいにまでは、できると考えている」(Purdy氏)。ただし、積層すると歩留まりが下がっていくので、容量と歩留まりのバランスを考慮する必要があるという。さらに、イリカのビジネス開発ディレクターである南舘通氏は、低温環境で薄膜を積層できるHT-PVDがあるからこそ実現できると話す。「一般的に薄膜電池を積層するには高温のプロセスが必要だが、高温の環境では下層の電池を痛めてしまい特性が出にくくなる」(同氏)。

 3つ目として、高温環境への耐性を挙げた。自動車や飛行機のエンジンなどに使われる場合を想定し、最大250℃の動作温度の実現を目指すという。

イリカのCEOを務めるGraeme Purdy氏(左)とCSOのBrian Hayden氏 イリカのCEOを務めるGraeme Purdy氏(左)とCSOのBrian Hayden氏
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