タッチエンスが目指すのは、「いかに小さく安くすることで、今まで使うことができなかった市場にセンサーを展開すること」(丸山氏)である。スポンジ型センサーは既に、1個当たり数百円の領域を実現しているため、玩具でも使うことが可能だ。MEMS型のセンサーはまだ高いが、将来的に民生品に搭載できるレベルの価格帯にしていく。
センサーが搭載されている事例はまだない。しかし、自動車やエンターテインメント機器、ロボットなどで量産を前提に進むプロジェクトが複数あるという。スポンジ型センサーは、「2016年中に採用事例を発表できるかもしれない」(丸山氏)とする。
リーマンショックの影響を受けた佐竹製作所の新規事業として誕生したタッチエンス。丸山氏は「売り上げ規模でみると、まだまだ(業績に)貢献できていないのが現状だ。ブルーオーシャン(競合相手のいない領域)の市場で量産品を出すことを目的にしているため、現在の試作レベルではもうからない。佐竹製作所の業績自体は2010年から持ち直し、当時の2倍くらいの売上高がある。タッチエンスは現在、佐竹製作所の売上高の数パーセントにすぎず、早く10〜20%の売り上げを担えるように頑張りたい」と語る。
丸山氏は今後もCMGのように、スポンジ型センサーがどのように使えるかをアプリケーションレベルで提案し、センサーの引き合いを多くすることが最短の距離だと考える。
「PepperなどサービスロボットやIoT(モノのインターネット)が身近になり、センサーのニーズは非常に大きくなっている。当社は、今センサーが入っていないところに新しい機能を加え、センサーという視点から1つの市場を創造したい」(丸山氏)とした。
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