1回の人身事故の損害が、とにかく「巨額」であることは、皆さんご存じだと思います。では、おおよそどれくらいの金額になるのでしょうか。そのイメージをつかむため、仮想の鉄道「江バ電」を走らせ、人身事故をシミュレーションしてみました。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「人身事故」。日常的に電車を使っている人なら、一度は怒りを覚えたことがある……というのが本当のところではないでしょうか。今回のシリーズでは、このテーマに思い切って踏み込み、「人身事故」を冷静に分析します。⇒連載バックナンバーはこちらから
本連載について、メールで、簡単なアンケートなどに応じていただける方を募集しております。
こちらのメールアドレス(one-under@kobore.net)に『アンケートに応じます』とだけ書いたメールを送付していただくだけで結構です(お名前、自己紹介などは必要ありません)。ぜひ、よろしくお願い致します。
なお、アンケートにご協力いただいた方には、江端の脱稿直後の(過激なフレーズが残ったまま?の)生原稿を送付させていただくという特典(?)がついております。
なお、本シリーズから、アンケートは「Googleフォーム(アンケートシート)」を使いますので、私には、皆さんを特定することはできません(私からは、フォームのURLをお知らせして、アンケートをお願いするだけ、となります)。特に、鉄道会社にご勤務の方、またはOBの方のご参加を、思いっきり期待しています。
何年か前の話になりますが、何かのきっかけに、次女(当時、小学校中学年)から
「パパ、『忠臣蔵』って何?」
と尋ねられたことがあります。
「それはね、江戸時代の5代将軍徳川綱吉の治世に行われた、徒党を組んだ地方浪人による、テロ事件で ―― 」
と言った時点で、嫁さんに、どえらいけんまくで叱られました。
「えー、だって、当時の最高権力機関(幕府)による、確定した裁定(暴力行為に対する処刑)に対する、当時の法律が禁じている『暴力による抗議活動』だよ」
「どこを、どうしたって、『テロリズム』以外、定義できないじゃないか」
と、私が、どんなに誠意を尽したロジックで弁明しても、ついに、嫁さんには聞き入れてもらませんでした。
その話を、同僚にも話したところ、
「それは、江端さんの奥さんが正しい」
と、一言できわめつけられました。
同僚:「江端さん。日本人には、日本人に固有の価値観 ―― 「刷り込み」とも言いますが ―― があります」
江端:「うん、知っている」
同僚:「江端さんのロジックがどんなに正しかろうが、それを、小学生に語ってはダメです」
江端:「なんで?」
同僚:「日本人として生きるためには、まず『赤穂浪士 = 正義』という、日本人固有の思想のプラットフォームを完成させなければなりません。江端さんのような、ロジカルな思考形態は、小学生には早すぎるのです」
江端:「えーと……、よく分からないんだけど」
同僚は少し困ったような顔をした後で言いました。
同僚:「そういうロジカルな思考形態が身につくと、娘さんが、小学校でイジメに遭うことになりますよ」
江端:「え、そうなの?」
同僚:「日本で平和に生きていくためには、まず、日本人固有のプラットフォームを作らなればなりません。そこから逸脱する思想や発想は ―― もちろん、考えること自体はいいんですが ―― 日常で、口に出してはダメです。ハブられます」
江端:「私、普段から自分の思っていることを、自由にしゃべっているけど」
同僚:「江端さんは、もういいんですよ。うん、もう、本当に江端さんなんかは『どうだっていい』」
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