中国のファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)が、イタリアのファウンドリーLFoundry S.r.l.の株式の70%を取得する。LFoundry S.r.l.では、自動車や産業機器向けのアナログ製品を主に製造している。
中国最大の半導体専業ファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)は2016年6月24日(現地時間)、イタリアのファウンドリーLFoundry S.r.l.(以下、LFoundry)の株式の70%を約5500万米ドルで取得することで合意したと発表した。
SMICは、「当社は今回の取引によって、中国国外での製造拡大に向け、最初の足掛かりを得ることができる。今後は、世界エレクトロニクス市場に進出していく考えだ」と述べている。
SMICのCEO(最高経営責任者)兼エグゼクティブディレクターを務めるTzu-Yin Chiu氏は、発表の中で、「SMICにとって今回のLFoundry株式取得は、世界戦略における重要な一歩となる。今後も引き続き、世界半導体エコシステムにおけるリーダーシップの強化、拡大を実現していきたい」と述べる。
SMICによると、今回の取引完了後は、LFoundryの親会社であるドイツLFoundry Europeと、イタリアのアヴェッツァーノ(Avezzano)にある工場を管理するLFoundryの子会社Marsica Innovationとが、LFoundryの所有権をそれぞれ15%ずつ維持していくという。
米国の市場調査会社であるGartnerによると、SMICは、2015年の世界半導体ファウンドリーランキングにおいて、22億4000万米ドルの売上高と約5%の市場シェアで、5位の座を獲得しているという。同社の2016年第1四半期における売上高は6億3430万米ドルに達し、16四半期連続で売上高増加を記録している。
2015年順位 | 2014年順位 | ファウンドリー | 2015年売上高 | 2015年市場シェア |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | TSMC | 26,566 | 54.3% |
2 | 3 | GLOBALFOUNDRIES | 4,673 | 9.6% |
3 | 2 | UMC | 4,561 | 9.3% |
4 | 4 | Samsung Electronics | 2,607 | 5.3% |
5 | 5 | SMIC | 2,229 | 4.6% |
売上高の単位は百万米ドル(出典:Gartner) |
LFoundryは、自動車やセキュリティ、産業用途などに向けたアナログ製品を専業として手掛けるファウンドリーである。同社のアヴェッツァーノ工場は、8インチウエハー換算で月産約4万枚の生産能力を備えている。LFoundryの2015年の売上高は約2億4300万米ドルで、同年の世界ファウンドリーランキングでは上位10社にはランクインしていない。
SMICとLFoundryは、「われわれは今回の取引によって、両社の生産能力を組み合わせ、それぞれの製品を中国市場と欧州市場に参入させることにより、大きなチャンスを得られる」と主張する。
LFoundryのCEOであるGünther Ernst氏は、「SMICとの契約合意により、自社の生産能力を有効活用できるようになるだけでなく、SMICの商業ネットワークや生産能力、幅広い技術などを利用することも可能になる」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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