現在、米国サンフランシスコで、Intelの開発者会議「Intel Developer Forum(IDF) 2016」が開催されている。同社は5G(第5世代移動通信)のネットワークでは、(Software Defined Network)とNFV(Network Function Virtualization)が鍵になるとしている。
Intelは現在、米国サンフランシスコで年次開発者会議「Intel Developer Forum(IDF) 2016」(2016年8月16〜18日)を開催中だ。同社は日本時間の8月18日、主にアジア地域の記者向けにカンファレンスコールを行い、5G(第5世代移動通信)の取り組みについて説明した。
Intelの5G Business and Technologyでゼネラルマネジャーを務めるRobert Topol氏は、「当社は早い時期から、5Gの研究開発を進めており、さまざまなユースケースに向けたプロトタイプを開発している。5Gでは、スマートフォンだけでなく、自動車、ドローン、スマートホーム、産業オートメーションなど、数多くの分野で新たなユースケースが生まれてくる可能性がある」と述べる。
5Gの研究開発を単独で行っているメーカーは、ほぼない。キャリア(通信事業者)、通信機器メーカー、チップメーカーにかかわらず、提携関係を結んで進めていくのが一般的になっている。例えばNTTドコモは現在、13社と5G向け技術の共同開発を進めていて、Intelもそれら13社のうちの1つだ。
Intelも、AT&TやSK Telecom、NokiaやEricsson、NTTドコモやNECなどと提携し、5G開発を行っている。今回のカンファレンスコールでは、AT&Tとの取り組みが主に取り上げられた。IntelとAT&Tは、2016年2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」において、両社が提携して、LTE回線を利用するドローンのテスト飛行や、5Gの実証実験を進めることを発表した。IDF 2016では、その提携関係をさらに拡大し、5G向けの機器やサービスの開発を加速させると述べている。
IntelのWireless Access Strategy & Technologyでディレクターを務めるCaroline Chan氏は、「AT&Tは、増加の一途をたどるトラフィックに対応可能な次世代ネットワークの鍵になるのは、SDN(Software Defined Network)とNFV(Network Function Virtualization)だとしている。AT&Tは、2020年までに、同社のネットワーク機能の75%以上を仮想化する計画を発表している。当社は、5Gのネットワークは、SDNとNFVを使ったクラウドネットワークのような形態が基本になると考えている」と述べた。
日本企業との提携では、NTTドコモと2015年7月に、5G開発における提携を発表した。両社は、5G対応端末に搭載するチップセットの試作や検証を行う。また、2016年8月16日にはNECとIntelが、無線基地局用装置の機能を汎用サーバ上のソフトウェアで実現する「NFV C-RAN(Cloud-RAN)ソリューション」を共同開発したと発表した。
Intelは2016年5月、モバイル機器向けSoC(System on Chip)事業を廃止すると発表した。この際、多くのアナリストたちは「Intelが今後、モデムと5Gの分野に再度注力していく上で、理にかなった判断」だと評価している(関連記事:Intel、モバイル向けSoC事業を廃止)。具体的には、スマートフォン向けのSoC「SoFIA」や「Broxton」(いずれも開発コード名)の計画を中止した。Topol氏は、これについて「確かに、モバイル向けSoCの開発計画を中止したが、永久的に同市場から撤退するとは発表していない。リソースの割り当て先を軌道修正し、これまでモバイル向けSoCに割いてきたリソースを、Wi-FiやLTE、5Gなどの無線通信向けに再度割り当てるという意味に受け取ってほしい」と説明した。
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