EE Times Japanで2016年9月17〜23日に、多くのアクセスを集めた記事をランキング形式で紹介します。さまざまなトピックのニュース記事、解説記事が登場!!
「EE Times Japan Weekly Top10」バックナンバー
今回のランキングの注目は、何といっても2位の、オン・セミコンダクターによるフェアチャイルド・セミコンダクターの買収完了かと思います。2016年9月19日(米国時間)に、オン・セミコンダクターは、この買収の完了を発表しました。直後から、フェアチャイルドのWebサイトのロゴは「Formerly FAIRCHILD(旧フェアチャイルド)」に切り替わりました(本当にあっという間に)。
この買収でフェアチャイルドはNASDAQの上場を廃止しています。フェアチャイルドのIR(Investor Relations)ページをクリックすると、既にオン・セミコンダクターのIRページに誘導されるようになっています(つまりフェアチャイルドの決算関連の資料は(プレスリリースのアーカイブに残っているもの以外は)もう見られません)。
読者の皆さまもご存じのように、フェアチャイルドといえば現在のシリコンバレーの基礎となったメーカーです。トランジスタを開発したショックレー・トランジスター・コーポレーション出身の8人が、1957年に設立しました。この8人は、ショックレー・トランジスター・コーポレーションの設立者であるウィリアム・ショックレーに反発して独立したため、自らを「8人の反逆者(the Traitorous Eight)」と名乗っていたそうです。そのフェアチャイルドから、さらに独立していった人物たちによって、インテルや旧ナショナル・セミコンダクターなど、半導体発展の歴史に欠かせない重要なメーカーが生まれていきました。このあたりの話は、EE Times Japanの連載「イノベーションは日本を救うのか 〜シリコンバレー最前線に見るヒント〜」の第4回、「「シリコンバレー以前」から「PCの登場」まで」に詳しく書いてあります。
買収完了が発表された時、真っ先に気になったのが「フェアチャイルドブランドがどうなるのか」ということでした。オン・セミコンダクターは、ブランド調査を行って、フェアチャイルドの名は残さないという決断を下しました。ビジネスに感傷は無用ですが、一抹の寂しさを覚えました。2014年2月、日本の唯一のDRAM専業メーカーであった「エルピーダメモリ」の名称が「マイクロンメモリ ジャパン」となりましたが、その時の気持ちと似ているかもしれません(関連記事:「社名がマイクロンになってもエルピーダの火は消えない」、坂本社長が退任の弁)。
どの業界でも、勢力図・版図が時代の流れで変わっていくのは、ごく自然なことです。半導体業界も、ほんの数年前に比べてだいぶこの勢力図が変わりましたが、それによって業界が活性化したり、新しい技術やサービスが生まれるスピードが加速したりするのであれば、半導体技術の恩恵に預かっているエンドユーザーにとっても良いことです。
感傷に浸るのは少しの間だけにして、新生オン・セミコンダクターがどう成長していくのかに注目したいと思います。「デジタル化の中で浮沈を決めた“半導体設計の本質”」「自前主義で“モノづくりの自由度”を失った日本」なども、ぜひお読みください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.