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IoT向けLTE市場、2017年に急成長する見通しCat-M1、NB1など

IoT(モノのインターネット)に向けた低消費電力のLTE「LTE Cat-M1」や「LTE NB1(NB-IoT)」は、2017年に急速に市場に浸透する可能性がある。米国のキャリアや携帯電話向けモジュールメーカーは、これらの規格に対応したQualcomm(クアルコム)のチップを採用する予定だ。

» 2016年10月27日 09時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

IoT向けLTE規格、2017年に急速に成長か

 米国の2大通信事業者(キャリア)と携帯電話向けモジュールメーカー5社は、IoT(モノのインターネット)に向けた低消費電力のLTEの最新規格に対応したQualcomm(クアルコム)のチップを採用する方針を明らかにした。これにより、2017年に同規格が急速に市場に浸透することが予想される。

 AT&Tは、米国カリフォルニア州サンフランシスコで実施する「LTE Cat-M1」のパイロットテストでQualcommの「MDM9206」を使用する。同チップは、2017年に米国での出荷を開始する予定だ。またVerizonは、IoTプラットフォーム「ThingsSpace」に同チップを採用する計画だ。さらに、QuectelとTelit Wireless Solutions、u-blox、Simcom、Wistron NeWebの携帯電話向けモジュールメーカーは、Cat-M1と「Cat NB1(NB-IoT)」規格に対応したモジュールに同チップを搭載するという。

 Cat-M1は、帯域幅が1.4MHzで最大通信速度は380kビット/秒、Cat NB1は、帯域幅が200kHzで最大通信速度は40kビット/秒である。Qualcommは、「MDM9206を搭載したCat-M1対応モジュールは2017年前半に出荷され、そのすぐ後にCat NB1対応にアップグレードしたソフトウェアもリリースされる見通しだ」と述べている。

 低消費電力のLTEによって、電気や水道メーター、ビルのセキュリティや照明、産業制御、小売POSシステム、資産管理にセルラーIoTが新たに導入されると期待される。なお、広域をカバーする必要がある低消費電力IoTアプリケーションには、これまで主にIEEE 802.15.4が適用されていた。

 続々と登場する新しいIoTネットワーク規格は、特にセルラー通信を大きく変えると予想される。ベンダー各社は、携帯電話向けM2M(Machin to Machine)モジュールを搭載した基地局を増やし、カスタムメイドのIoTシステムをDIY(Do It Yourself)のような感覚で構築できる環境の整備を目指している。

 セルラーIoT規格をめぐる競争は既に始まっている。例えば、フランスの通信事業者であるOrangeは、LoRaネットワークの他に携帯電話向けIoTネットワークも展開する予定だ。また、携帯電話向けモジュールメーカーであるu-bloxは、Ingenuネットワーク向けモジュールの製造に着手しているという。

 AT&TとVerizonはまず、Cat-M1ネットワークを展開する計画だ。一方、中国や、欧州のVodafoneとDeutsche Telekomは、使用できる帯域の関係から最初にCat NB1ネットワークを展開するという。欧州には、3G(第3世代移動通信)をベースとした「Extended Coverage GSM」をIoT向けとしてサポートするキャリアもある。

 一部のキャリアは、2016年末までに新たなセルラーIoTサービスを展開する見通しだ。2017年1月に米国で開催される「CES 2017」では、その展開地域に注目が集まると予想される。Qualcommで事業開発シニアディレクターを務めるArt Miller氏は、「当社のチップは幅広く採用されると確信している」と話している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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