「車載市場での存在感強化を狙うIntelの戦略」の記事では、「IntelとMobileyeの密接な結び付きは、MobileyeとST Microelectronics(以下、ST)の既存の関係を脅かす」という、あるアナリストの推測を引用した。
MobileyeのGalves氏は、そうしたことは全くないと強調した。同氏は、「STは、『EyeQ4』とEyeQ5の両方において、競争力のあるプロセスで提供するための大切なパートナーだ。当社のアルゴリズムは、共同開発されたアーキテクチャ上で最も効率的に作動するように構築された。Delphiが買収した旧OttomatikaのソフトウェアはIntel環境で開発されたため、そのタイプのアーキテクチャ上に配備するのは当然のことだ」と述べた。
将来については、さらに大きい疑問がある。
Delphiのモデル以降、業界は何を合理的に期待できるのだろうか。MobileyeとIntelは、自動運転車プラットフォームから利益を得るためにどのような手段を講じるようになるのか。
Cogito InstrumentsのLambinet氏は、マージンをめぐる係争を予測している。同氏の見解では、自動車分野を独占する企業として最有力視されるのはMobileyeだという。Lambinet氏は「だからこそ、MobileyeはIntelにとって大きなうまみがあるに違いない」と述べた。Intelの歴史をひもといて考えても、IntelがMobileyeにさらに近づきたがる理由はそこにある。だが、Mobileyeが本当にそれを望んでいるかどうかは定かではない。
Lambinet氏は次のように述べた。「Intelは“Wintel”というビジネスモデルを用いて巨大企業になった。MicrosoftとIntelは、双方に膨大な利益をもたらす方法でPC市場を席巻することができた。それ以降、Intelはマージンを減らすことを避けるために、この、いわば“保護された”ビジネスモデルを常に再現しようとしてきた。とはいえ、PCのビジネスモデルは例外であって慣例ではない。そのため、IntelがモバイルとTVの時のように、自動車でも再び失敗する可能性は十分にある」
Mobileyeのアルゴリズムが自動運転車プラットフォーム市場を支配し続ければ、Intelはハードウェアベンダーとして、「Mobileyeを買収するか、コモディティ化するかのいずれかだろう」とLambinetは述べた。
だが、Intelが戦わずしてそのような道を選ぶとは想像しがたい。同社は現在、人工知能(AI)に注力しており、その一環としてニューラルネットワークの学習技術を手掛けるNervana Systemsを買収した他(同分野は現在、NVIDIAがけん引している)、コンピュータビジョンとエッジネットワークを手掛ける米Movidiusの買収手続きを進めている。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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