だが、中国にとってDRAMが重要であることに変わりはない。DRAMは、フラッシュメモリに比べて特許を取得している企業が少なく、競合も少ない。
IC InsightsのLineback氏は、台湾の半導体ファウンダリーUMCと中国の半導体企業Fujian Jin Hua Integrated Circuit(JHICC)がDRAMの開発で提携していることを指摘した。
Lineback氏は、「2016年5月に発表されたこの研究開発パートナーシップは、メモリIC事業の拡充に向けた中国の戦略の一環だ」と説明している。同パートナーシップの下、UMCは台湾南部の工業団地「Southern Taiwan Science Park」に100人の研究員から成る研究開発チームを置き、Fujian Jin Huaは技術開発に資金提供している。Lineback氏によると、「UMCはDRAM市場に参入する予定はなく、中国のパートナー企業と先進のメモリ技術を開発することで利益を得る計画だ」という。
また、JHICCは、56億5000万米ドルを投じて中国の晋江市に300mmウエハー製造工場を設立し、最先端のメモリ技術とプロセス技術を開発する計画を明らかにしている。ただし、Lineback氏によると、この計画も例にたがわず詳細は不明だという。
Ernst氏はEE Timesに対して、「メモリ市場で中国に対する障壁となっているのは、SamsungとSK Hynix、Micronの中で“中国を排除する”という暗黙の合意があることだ」と語った。
だが、Ernst氏は、複数の台湾情報筋が同氏とは異なる見解を示していることも明かしている。台湾情報筋によると、「Samsungの独占を崩したいと考える企業は、進んで中国に協力する可能性もある」という。「メモリ市場はSamsungによる独占状態が続いてきたが、市場はそのシナリオに甘んじているわけではない。中国は、そうした状態に救いの手を差し伸べる存在ともいえる」とErnst氏は説明している。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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