一般照明市場における同社のシェアは8位以内で、他の分野に比べるとまだ小さい。「LEDの搭載率は一般照明機器で約90%に達しているが、普及率になると50%まで到達していない。これからも成長が期待できる市場領域」(飯田氏)という。このため、LEDチップの製造能力や製品ポートフォリオを強化し、シェアランキングでさらなる上位を目指していく方針である。
こうした狙いもあり、6インチウエハーを用いた新工場をマレーシア・クリムに建設中である。新工場に対し2020年までに10億ユーロを追加投資することを決めている。LEDチップの製造工場としては最新かつ最大級の製造能力を持つ工場になるという。
期初の計画では2017年後半にもウエハーの投入を開始する予定となっている。「一般照明向けのLED事業を拡大していくためには、大きな製造能力を持ち、スケールメリットを生かしていく必要がある」(飯田氏)と判断しているからだ。
一般照明向けLEDは、住宅用やプロフェッショナル用の屋内照明から屋外照明まで、さまざまな用途に向けて幅広い製品を提供している。この中で、特に同社が注力するのは高光束、長寿命、小型形状といった特長を持つ新製品に加えて、演色性や色の均一性を高めた製品である。
例えば、屋外照明システム向けLED「DURIS P10」は標準光束1100lmで、熱特性やコストパフォーマンスに優れた製品である。寿命も従来品の4倍と長い。屋内照明向け小型LED「DURIS S2」は指向角が150度と広く、複数個のLEDチップを並べて実装する場合、チップの間隔をこれまでより広げて実装しても、均一な照明が可能になるという。
また、優れた色質を実現するBrilliantシリーズ「SOLERIQ S」は、純粋な白色を演出する「Brilliant White」と、コントラストを強めることで鮮やかな色を再現する「Brilliant Color」を用意した。これとは別に白色LEDでは、「10度ビニングコンセプト」を新たに提唱する。従来の2度ビニングに比べて、色のばらつきを抑え、人間の感覚により近い表色系を実現できることから、色が均一な照明を可能とする。
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