Gartnerの予測によると、2017年におけるPC、携帯電話機、タブレット端末の総出荷数は、2016年比で横ばい状態になるという。携帯電話機市場が成長するのはアジア太平洋地域の新興市場のみ。PC市場に関しては底を打つとGartnerはみている。
PCと携帯電話機、タブレット端末は過去数年間、電子機器サプライチェーンをけん引してきた。だが、米国の市場調査会社であるGartnerは、「これらのデバイスの2017年の総出荷数は横ばい状態になる」と予想している。
Garterが2017年1月に発表した報告書によると、これらのデバイスの2017年の売上高は23億米ドルで、2016年の予想売上高とほぼ同額になる見通しだという。
Gartnerのリサーチ担当ディレクタであるRanjit Atwal氏は、報告書の中で「世界電子機器市場は停滞している。携帯電話機はアジア太平洋地域の新興市場でのみ出荷量を伸ばすが、PC市場は底を打つとみている」と述べた。
実際に、Gartnerは「PCの出荷量は2017年も減少を続け、6年連続の減少となる。だが、2018年には買い替えサイクルと高価格帯のウルトラモバイルの人気によって回復する」と予想している。
Gartnerの見積もりによると、2016年末時点で世界には70億台に上る携帯電話機とタブレット端末、PCが存在するという。同社は、「2018年は、携帯電話機とウルトラモバイルの出荷数がわずかに増加する」と予想する。ウルトラモバイルとは、タブレット端末や、コンバーティブル型PCなど薄型・超軽量PCなどを指す。
Atwal氏は、「これらのデバイスは、出荷数だけでなく、ASP(平均販売価格)も停滞している。その要因は、市場の飽和や革新的技術の開発速度の鈍化であると考えられる」と述べている。
同氏は、「消費者を従来のデバイスのアップグレードや購入に向かわせる要因が少ない。消費者は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やバーチャルパーソナルアシスタント(VPA)スピーカー、ウェアラブル機器といった新生カテゴリーに属する、より新しい体験やアプリケーションを求めている」と説明している。
PCは2018年、魅力的な価格帯の高性能ウルトラモバイルの売り上げ増によって、長く期待されていた回復を遂げると予想される。こうしたデバイスの成長が期待される一方で、従来タイプのPCの売上高は減少が続くと予想される。
電子機器の種類 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | ||
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コンピューター機器 | PC | デスクトップPC/ノートPC | 2億1900万 | 2億500万 | 1億9800万 | 1億9300万 |
ウルトラモバイル(ハイエンド) | 4900万 | 6100万 | 7400万 | 8500万 | ||
合計 | 2億6800万 | 2億6600万 | 2億7200万 | 2億7800万 | ||
ウルトラモバイル(普及価格帯) | 1億6800万 | 1億6500万 | 1億6600万 | 1億6600万 | ||
合計 | 4億3600万 | 4億3100万 | 4億3800万 | 4億4400万 | ||
携帯電話機 | 18億8800万 | 18億9300万 | 19億2000万 | 19億3700万 | ||
合計 | 23億2400万 | 23億2400万 | 23億5700万 | 23億8000万 | ||
単位は台。出典:Gartner *)「ウルトラモバイル(ハイエンド)」は、Microsoftの「Windows 10」やIntelの「x86」プロセッサを搭載したデバイスや、Appleの「MacBook Air」など。「ウルトラモバイル(普及価格帯)」は、Appleの「iPad」「iPad mini」、Samsung Electronicsの「Galaxy Tab S2」、Amazonの「Fire HD」、Lenovoの「Yoga Tab 3」、Acer の「Iconia One」などを指す。 |
携帯電話機市場は、2018年に交換サイクルによる成長が期待される。ただし、Gartnerによると、成熟市場と新興市場では市場動向に違いがあるという。Atwal氏は、「スマートフォンは、新興市場では依然として主要なコンピュータデバイスとして位置付けられ、成熟市場よりも定期的に買い替えられている」と説明している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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