EETJ 社内から新事業のテーマが出てくるのですね。
登坂氏 太陽誘電は、昔から、野武士の集まりで、研究所の開発テーマ設定も自由度があり、良くも悪くも適当にやってきた。だからこそ、特長のある技術が生まれてきたといえる。
しかし、そうした特長のある技術は、系統樹で例えるならば、枝葉の部分。枝葉はいずれ細くなる。特長ある製品は多いが、進化が止まってしまい、いずれ競合に負けて滅びていく。
研究開発以外でも、皆、個々に勝手にシステムを作っていく。そして、“スマートE”のように、後付けで統合していくことになる。会社規模を大きくするには、基幹システムがあってそれらを拡張していかなければならない。
野武士の集まりだからこその良い面も多くあるが、野武士の集まりだからこそ太陽誘電は大きくなれない。
EETJ 中期的に売上高3000億円達成を目指されています。
登坂氏 たかだか3000億円だが、このまま、野武士が個々にやっていくと、達成は難しい。規模を拡大するには、野武士を組織化する必要がある。だからこそ、“スマートE”が必要だ。
というのも、売り上げを伸ばすには、単価ダウンが必ず生じるから、製造する部品個数は売り上げ増分以上に増やさなければならない。でも、1個1個のオペレーションは変わらない。IoTや自動車の電子化がさらに進展し、部品市場がさらに拡大した場合に、必ず、“数”に対応できなくなってしまう。だからこそ、作るレベルを上げないといけないと思っている。
EETJ 売上高3000億円達成後は?
登坂氏 当然、3000億円の先を目指す。
ただ、電子部品メーカーの売り上げをみると、不思議と3000億円を超えた辺りから6000億円台までの間に位置するメーカーが存在しない。これは、中途半端にアッセンブリーなどで売り上げ規模拡大に走ると失敗し、滅んでいくということを示している。3000億円から先に行くには、それなりの覚悟と、しっかりとした何かを持っていかないといけないということだ。
太陽誘電は素材、セラミックを通じて、いつかは、3000億円の先にある壁を越えたいと思っている。3000億円の先を目指すのは私の次の世代かもしれないが、少なくとも私は、先を目指せる環境を整えることが仕事だと思っている。
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