日立金属ネオマテリアルは、高容量リチウムイオン電池向けのクラッド集電箔を開発した。リチウムイオン電池のさらなる高容量化により、EVの航続距離を伸ばすことが可能となる。
日立金属ネオマテリアルは2017年1月、高容量リチウムイオン電池向けのクラッド集電箔を開発したと発表した。リチウムイオン電池のさらなる高容量化により、EVの航続距離を伸ばすことが可能となる。早ければ2019年にも量産を始める予定である。
リチウムイオン電池のさらなる高容量化に向けては、さまざまな研究がなされている。その1つが負極活性物にケイ素(Si)などの合金系材料を用いる方法である。これまで用いられてきた炭素系材料に比べて、充放電容量が大きいという特長がある。しかし、合金系材料は、炭素系材料に比べて、充放電時の体積変化が大きい。このため、充放電を繰り返すと集電箔がしわ状に変形し、活性物質層にクラックが生じて寿命が短くなるなどの課題があった。
新たに開発したクラッド集電箔は、芯材をNi(ニッケル)とNb(ニオブ)の合金とし、表層材には電気抵抗の小さいCu(銅)を用いた3層クラッド材とした。Niに約5%のNbを添加することで、高い引張強度を実現するとともに、Cuと圧延接合することで電気抵抗を小さくすることが可能になったという。
開発したクラッド箔は、電解銅箔や圧延銅箔を用いた一般的な負極集電箔に比べて、高い引張強度を有するため、充放電時の体積変化にも耐えることができるという。
開発品はすでに、公的研究機関や電池メーカーなどで評価を行っており、良好な電池特性が得られているという。日立金属ネオマテリアルは、今回のクラッド箔も含め、電池用材料事業で、2021年度までに360億円の売上高を目指すことにしている。
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