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短絡電流を13ミリ秒以内に遮断する技術、鉄道向けU字型導体を採用

三菱電機は2017年1月、鉄道向け電力供給システムを保護する直流遮断器において、異常時に発生する短絡電流を検出し、「世界最速」とする13ミリ秒以内に遮断する技術を発表した。

» 2017年02月01日 09時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

2017年4月から受注を開始

 三菱電機は2017年1月、鉄道向け電力供給システムを保護する直流遮断器において、異常時に発生する短絡電流を検出し、13ミリ秒以内に遮断する技術を発表した。

 直流遮断器は短絡電流の磁界を利用し、電磁石を動作させることで短絡電流を検出している。同社は、検出用電磁石に従来のI字型導体ではなくU字型導体を採用することで磁界を強化。可動鉄心形状の最適設計による軽量化も行ったことで、短絡電流の検出から接点が開くまでの応答時間を3ミリ秒未満に高速化できたという。

 直流大電流は、接点間で発生した直流アークをグリッドまで駆動させて遮断する。今回直流アークに働く電磁力を増加させる突起形状接点と、駆動性能に優れた接点材料を採用したことで、直流アークを高速に駆動し、大電流の高速遮断を可能にした。

今回発表した技術の概要 (クリックで拡大) 出典:三菱電機
左=短絡電流遮断時の電流波形/右=直流遮断器の構造 (クリックで拡大) 出典:三菱電機

 人口が集中する都市圏では、鉄道運転ダイヤの過密化が進み、鉄道向け電力供給システムにおける変電所の通電容量が増加傾向にある。そのため、遮断容量が50kAを超える遮断器が求められていた。遮断容量50kAを超える直流遮断器は、これまで海外設備環境に適した海外製品しかなく、国内設備環境に適合し、国内規格である「JIS E 2501-2 種類 H2」に準拠したものが求められていた。

 同技術は、IS E 2501-2 種類 H2に準拠した最大遮断容量100kAに対応し、10kA/ミリ秒でのカットオフ電流(55kA)も達成している。大容量電源の短絡自己時に発生する大電流を、規格値(55kA)以下に抑制するため、他の接続機器を安全に保護し、より安全に短絡電流を高速遮断できるとした。2017年4月から受注を開始するという。

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