このプラズマCVMにより、水晶ウエハーの厚み差を2nm以内に抑える加工を実現。プラズマCVMと、半導体製造プロセス応用型の水晶加工プロセスを組み合わせ、従来の1210(1.2×1.0mm)サイズの水晶振動子と同程度の特性を実現しながら、1008パッケージに収まる超小型水晶素子の加工に成功した。京セラクリスタルデバイス技術開発本部長の北田勝信氏は「プラズマCVM用いた製造方法では、素子ごとの寸法調整が不必要で簡単な電極の調整で、所望の発振周波数を得られるようになり、大量生産に向く半導体製造プロセス応用型の製造方法の利点をより生かせるようになった。今後は原則、小型水晶振動子の製造は、プラズマCVMを用いた製造方法に切り替えていく」と生産効率面でも問題がないとした。
新製造プロセスを用い製品化したCX1008は、周波数許容偏差±10ppm、周波数温度特性−30〜+85℃範囲で±10ppm。CI値は37.4MHzで最大60Ωとなっている。1.0×0.8×0.3mmの小型サイズの利点を生かし、スマートフォンやウェアラブル端末などでの採用を見込む。量産開始時期は2017年度中とする。
京セラクリスタルデバイスでは、「今回構築した技術をベースに、車載向け低周波帯振動子、基地局向け高周波帯振動子などさまざまな製品開発をさらに加速し、第5世代移動通信システムや先進運転支援システム(ADAS)などIoT(モノのインターネット)が進展する社会を支えていく」とコメントしている。
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