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ECがQualcommのNXP買収に懸念、本格調査に着手Qualcommが譲歩案提出せず

EU(欧州連合)は2017年6月9日、QualcommによるNXPの買収に懸念があるとし、本格的な調査に着手した。2017年6月1日までにQualcomm側が懸念を払うための譲歩案を提示しなかったためで、買収に影響を及ぼす可能性がある。

» 2017年06月13日 10時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

調査結論は2017年10月17日までに

 EU(欧州連合)は2017年6月9日、QualcommによるNXPの買収に関する徹底的な調査を正式に開始した。

 この調査による問題解決には少なくとも4カ月間を要することから、QualcommとNXPの合併計画に遅れが生じると考えられる。EC(欧州委員会)は、「2017年10月17日までにこの件に関する決定を行う」としている。

 最終的な合併の影響は、明確には判断できない。QualcommとNXPは、2017年末に合併手続きを完了させる計画だと発表している。

 QualcommとNXPの合併が発表された2016年10月以降、さまざまな問題が起こった。

 Qualcommは世界各地で孤独な法廷争いを行っており、非常に厳しいビジネス/法的環境の中で事業を運営している。同社は、競合企業だけでなく、顧客企業やその取引先企業とも争っている。こうした法廷争いによって、業界内でQualcommと友好関係にある企業はほとんどない状態に陥っている。

 目下の注目事項は、2017年6月15日に米国サンフランシスコ州サンノゼで行われるFTC(米連邦取引委員会)の審理だ。IntelとSamsung Electronicsの両社は、Qualcommに対するFTCの訴えを支持する法廷助言書を提出している。

 同様の事態が欧州でも起こっている。

ECが指摘する懸念

 ECが挙げている懸念事項は、欧州の業界がQualcommに対してどのような見解を持っているかを示している。Qualcommは、ECと欧州市場におけるQualcommのライバル企業にとって主要な関心事となっている。Qualcommが、一括販売や抱き合わせといった反競争的行為や、IP(Intellectual Property)ライセンス供与に関して、ロイヤリティの値上げや競合企業の排除といった強硬策を採ることが憂慮されるためだ。

 ECが、QualcommとNXP の合併による問題が生じると考えるのは、どの分野の半導体技術、製品だろうか。

 ECが警戒を示している分野は、NFC(近距離無線通信)とモバイル機器、新興の自動車技術である V2X(Vehicle to Vehicle、Vehicle to Infrastructure)だ。

譲歩案提出せず調査開始も「説得できる」

 Qualcommが、ECが合併に反対すると考えているかどうかは分からない。同社は、NXPの買収に関する競合各社の懸念を軽減するために、2017年6月1日までに譲歩案を提出しなければならなかった。だが、同社は譲歩案を提出せず、同契約が独占禁止法に違反していないとして独禁当局を説得できると自信を見せている。

 承認基準が比較的緩やかな米国の独禁当局は2017年4月に、QualcommとNXPの合併を条件なしで承認した。だがQualcommは現在、ECの徹底的な調査の他に、中国商務部との交渉問題に直面している。中国との交渉は歴史的に見て、世界の中で最も厳しいと言われている。

【翻訳:滝本麻貴、編集: EE Times Japan】

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