Qualcommにとって、EU独占禁止法当局によって日当罰金を課されたことの他にも、欧州における戦いは終わりそうにない。ECは2017年6月9日に、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収提案について、詳細な調査を正式に開始したと発表している。
このようなECの動きにより、問題の解決までには少なくとも4カ月間を要するため、QualcommとNXPの合併計画は水を差される形となった。ECによると、2017年10月17日までには判断を下す予定だとしている。
QualcommとAppleの間で繰り広げられている特許係争は全て、未解決状態にあるQualcomm/NXPの合併問題をめぐり、副次的に生じているようだ。QualcommとNXPは、2017年末までには合併の手続きを完了させる予定だとしているが、エレクトロニクス業界の中でも特に欧州の観測筋は、この完了予定時期について疑問視している。
年月 | 内容 |
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2016年12月 | 韓国公正取引委員会が、Qualcommに対し、独占禁止法違反で1兆300億ウォン(約1027億円)の制裁金の支払いを命じる |
2017年1月 | 米連邦取引委員会(FTC)が、独占禁止法違反の疑いでQualcommを提訴 |
2017年1月 | AppleがQualcommを提訴。10億米ドルの支払いを要求 |
2017年2月 | Qualcomm、韓国公正取引委員会の制裁金支払い命令を不服として、制裁金の取り消しを求める |
2017年4月 | Qualcommが、2017年1月のAppleによる提訴に対し、Appleを反訴 |
2017年5月 | IntelとSamsung Electronics、FTCがQualcommが提訴した件について、FTCに賛同する意向を発表 |
2017年5月 | Qualcomm、Appleの製造委託業者4社を、ロイヤルティーの未払いで提訴 |
2017年6月 | EC、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収について詳細な調査を開始 |
2017年7月6日 | Qualcomm、AppleがQualcommの特許を侵害しているとして、Appleを提訴 |
2017年7月12日 | ルクセンブルグの欧州普通裁判所が、Qualcommが訴えた命令差し止め請求を棄却 |
2017年7月18日 | Appleの製造委託業者4社がQualcommを反トラスト法違反の疑いで提訴 |
Qualcommをめぐる動き(米国EE Timesまとめ) |
米国の比較的寛容な独占禁止法規制当局は2017年4月に、QualcommとNXPの合併を無条件で承認した。しかし、Qualcommは現在、ECによる詳細な調査に加え、これまでにも世界の中で最も手強い審判員と位置付けられている中国商務部(MOFCOM)との交渉にも直面している。
米国の独立研究機関East-West CenterのシニアフェローであるDieter Ernst氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「Qualcommが、生き残りをかけて戦う中で最重要視している目標は、NXPとの合併実現である」と述べる。
またErnst氏は、「Qualcommには、野心的な多角化戦略を実行していく上で、NXPが必要だ。Qualcommが、中国国家発展改革委員会(NDRC:National Development and Reform Commission)からの承認を得るためには、中国において業務上の信頼性が大きく欠如しているという点を改善しなければならない」と付け加えた。
NDRCは、中国国務院の傘下にあるマクロ経済管理当局で、経済関連の広範な行政管理や計画規制などを担っている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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