AppleとQualcommの法廷争いで、米国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)が動いた。Qualcommの申し立てを聞き入れ、Appleを調査すると発表した。
米国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)は、Appleが6件の非標準必須特許を侵害しているとQualcommが申し立てたことを受け、Appleを調査すると発表した。Qualcommと、同社の最大の顧客であるAppleとの間で激化する法廷闘争が、ITCの調査へと発展した。
ウォール街のあるアナリストは、2017年末までに両社の法廷闘争のほとんどが解決されると確信しているという。
Deutsche Bank(ドイツ銀行)のRoss Seymore氏は、調査報告書の中で、「当社の予想の結果が判明する2017年末には、事態はより楽観的になっている見通しだ」と述べている。ITCは通常、発表から15カ月以内に調査を完了する。今回の調査は、2018年11月ごろに完了するとみられる。
Qualcommは2017年7月7日に、ITCに対して、エンベロープトラッキング、電圧シフター回路、フラッシュレスブート、パワーマネジメント回路、拡張キャリアアグリゲーション、グラフィックス処理に関連する特許を侵害しているとして、Appleの「iPhone 7」およびその他の製品の輸入差し止めを求めた。
QualcommがAppleによる侵害を訴えている特許は以下の6件である。
Qualcommは、カリフォルニア州南部地区連邦地方裁判所において、同6件の特許についてAppleを提訴した。Qualcommは、ドイツでも特許侵害でAppleを訴えている。
Appleは2017年1月にQualcommに対し、10億米ドルの賠償を求める訴訟を起こしたが、2017年6月に申し立てを追加した。Qualcommはその後3週間を待たずして、ITCへの申し立てを起こした。Appleは2017年6月に追加した申し立ての中で、Qualcommは最高裁判所が2017年5月に下した判決に違反して、同社の発明に対して半導体の販売やロイヤルティーを通じて2倍の支払いを強要していると述べている。
両社の法廷闘争は既にQualcommの売上高に影響を及ぼしている。Qualcommは2017年4月に、Appleが「iPhone」と「iPad」のロイヤルティーの支払いを停止したことを受け、2017年度第3四半期の売上高予測を5億米ドル下方修正した。さらに、2017年7月には、利益が前年同期の14億米ドルから40%減となる8億米ドルに減少したことが明らかになった。
Appleは2017年1月に、「Qualcommは、当社がライセンス契約を交わした他のセルラー通信チップベンダーの5倍以上ものロイヤルティーの支払いを強要している」として、10億米ドルの賠償を求めてQualcommを提訴し、これによって、両社の争いが広く知られることとなった。
Appleがこの訴訟を起こしたのは、米連邦取引委員会(FTC:Federal Trade Commission)が、携帯電話機のベースバンドプロセッサの特許について不公正なライセンス供与を強制しているとして、Qualcommを提訴した数日後のことだった。
Appleは、中国と英国でもQualcommに対して訴訟を起こしている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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