米国サンフランシスコで「Mobile World Congress Americas 2017」が開催された。5G(第5世代移動通信)とセルラーIoT(モノのインターネット)が2大テーマとなり、通信機器ベンダーや通信事業者各社が、最新の製品や実証実験の成果などを披露した。
米国カリフォルニア州サンフランシスコで2017年9月12〜14日に、「Mobile World Congress Americas」が開催された。今回のイベントは、毎秒ギガビットクラスのLTEおよび5G(第5世代移動通信)サービスと、毎秒キロビットクラスのセルラーIoT(モノのインターネット)サービスのアピールに二分され、こうした新しいネットワーク上で動作する機器やシステムの見本市となった。
T-Mobileは、2017年中にLG Electronics製およびSamsung Electronics製の携帯電話機上でGビット/秒クラスのLTEを提供すべく、80億米ドルもの資金を投じて取得した新しい600MHz帯域を使用する予定だと発表した。さらに2019年には、より高速な5Gサービスを提供できる見込みだとしている。一方、AT&Tは現在、米国全土においてIoT向けLTE-Mサービスを提供しており、2018年6月までにはメキシコにも範囲を拡大する予定だという。
5Gをめぐる現状を見てみると、AT&TとVerizonが2018年末までに、28GHz帯および39GHz帯を使用した、家庭向け無線インターネットアクセスを提供する予定だとしているのに対し、Sprintは、2.5GHz帯のモバイルブロードバンドに注力していく考えだという。
セルラーIoTに関しては、T-MobileがNB(Narrow Band)-IoTサービスの準備を進め、VerizonがNB-IoTとLTE-Mの両方の試験を行っている一方で、Sprintは、まだ今後の予定を明らかにしていないという状況にある。
今回のMWC Americasは、Appleの新型「iPhone」の発表と重なり、マスコミの注目がそちらに流れたため、幾分、影が薄くなってしまった。Appleが発表会を行ったクパチーノの本社は、MWC Americasの会場から南に約80kmの所にある。それでもMWC Americasでは、携帯電話機やスマートウォッチ、IoTエンドノード向けタグなどの分野における、興味深い最先端デバイスが幅広く発表された。
通信事業者らは、さらなる成長の実現やコスト削減を求められるというプレッシャーの中、さまざまな取り組みを進めてきた。セルラーIoTを使用するための手法を開発する事業に着手した他、自社ネットワークを一元化し、より多くのタスクをx86サーバラックに移行していきたい考えだ。
Nokiaの北アメリカ部門担当CTO(最高技術責任者)を務めるMichael Murphy氏は、「当社の大手顧客企業数社が2017年中に、増大するネットワークの一部を管理するための中規模データセンターである、『エッジクラウド』の構築に着手する予定だ」と述べている。
Murphy氏は、「通信事業者たちは、ネットワーク管理を簡素化したいと考えているため、SDN(Software-Defined Network)をはじめとするさまざまなツールに注目している。ある顧客企業は、高い技術を持たないスタッフでも、新しい基地局を文字通りプラグアンドプレイで導入することができるよう、“ゼロタッチ(zero touch)”の実現を求めているが、現状はそれとは程遠い状況にある」と述べる。
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